「集中できないのはギフテッドだから?」
「発達障害のグレーゾーンなのかもしれない」
授業や仕事へ集中できない状態が続くと、インターネットで原因を調べることがあります。
そこで、
ギフテッド
発達障害
グレーゾーン
といった言葉を見て、
自分もそうなのでは
と思うことがあるかもしれません。
しかし、
集中できない
という一つの状態だけで、自分がギフテッドなのか、発達障害なのかを判断することはできません。
まず、
どんな場面なら集中できるのか
どんな場面で集中できなくなるのか
を整理してみましょう。
この記事では、ギフテッドやグレーゾーンと集中について気になったときに確認したいことを紹介します。
集中できないだけでギフテッドとは判断できない
ギフテッドという言葉は、一般に高い能力や特異な才能を持つ人について使われることがあります。
文部科学省では、
特定分野に特異な才能のある児童生徒
という表現を使い、知能、創造性、芸術、運動、特定の学問などで同年齢の児童生徒と比べて高い能力を示す子どもについて、教育上の支援を検討しています。
また文部科学省は、特異な才能のある児童生徒にも、単純な課題は苦手でも複雑な活動が得意な場合や、学習上の困難を併せ持つ場合など、多様な特徴があると説明しています。詳しくは、文部科学省「児童生徒の発達の支援」を確認してください。
そのため、
授業に集中できない
という一点だけから、
自分はギフテッドだ
と判断することはできません。
ギフテッドなら集中できるとも限らない
高い能力があるなら、
何時間でも集中できるのでは
と思うかもしれません。
しかし、文部科学省では、特異な才能のある児童生徒であっても学習上・生活上の困難が生じる場合があることを前提として、指導や支援の在り方を検討しています。
能力の高さと、
学校のすべての授業へ集中できること
は同じではありません。
授業が簡単すぎて集中できない場合
学校の授業内容をすでに理解していて、
説明を聞かなくても分かる
状態になることがあります。
その場合、
退屈
になり、別のことを考えることもあるでしょう。
文部科学省の有識者会議でも、特異な才能のある児童生徒について、学校の授業が簡単すぎて不満足に感じるケースが議論されています。
まず、
その授業の内容は自分にとってどのくらい難しいか
を確認してみましょう。
簡単な問題では集中できない場合
簡単な問題を何問も繰り返していると、
もう分かっている
と感じることがあります。
その場合は、
より難しい問題へ進めないか
別の発展課題がないか
を先生などへ相談する方法があります。
自分だけで授業を無視するのではなく、学び方を相談してみましょう。
難しい課題へ変える
自宅学習なら、
基本問題
だけではなく、
応用問題
発展問題
へ少しずつ移る方法があります。
ただし、難しすぎる問題ばかりにすると今度は手が止まる場合があります。
自分が考える必要のある難しさを探してみましょう。
興味のあることだけ集中できる場合
特定の教科。
趣味。
研究。
プログラミング。
などには長時間集中できるけれど、別のものには集中できない場合があります。
このことだけでギフテッドとは判断できません。
ただ、
自分は何に興味を持ちやすいのか
を知る手掛かりにはなります。
興味がある分野を深く調べる
興味のある分野なら、
もっと知りたい
と思うことがあります。
その場合は、学校の授業だけでなく、
本
資料
学校外の学習機会
などを利用する方法があります。
文部科学省でも、特異な才能のある子どもについて、興味に基づく深い探究や学校外のより高度な学びを含めた支援が議論されています。
興味がないことを全部やらなくていいわけではない
興味のある分野へ集中できる一方で、学校ではさまざまな教科を学ぶ必要があります。
興味が薄い教科なら、
15分だけ
問題3問だけ
というように小さくしてみましょう。
興味を持てるまで待つのではなく、必要な範囲を区切って進めます。
「能力が高いから退屈」と決めつけない
授業が退屈だから、
自分には簡単すぎる
と思うことがあります。
しかし、
内容が分かっていないから興味を失っている
場合もあります。
実際に問題を解いてみて、理解できているか確認してみましょう。
問題を解いて理解度を確認する
授業を聞かなくても分かると思ったら、
その単元の問題を解いてみる
方法があります。
簡単に解けるなら、より難しい課題へ進めるか相談できます。
解けないなら、授業で確認する必要があります。
感覚だけで難易度を判断しないようにします。
「グレーゾーン」と集中の関係は?
「グレーゾーン」は日常的によく使われる言葉ですが、
集中できない人を表す診断名
ではありません。
集中しづらい理由には、
睡眠不足
疲れ
ストレス
授業内容
周囲の刺激
など、さまざまなものがあります。
集中できないことだけで、発達障害かどうかを判断しないようにしましょう。
ADHDでは注意の持続が難しいことがある
注意欠如多動症(ADHD)では、不注意、多動性、衝動性などが特徴としてみられることがあります。
厚生労働省の「こころの耳」では、ADHDは注意の持続の難しさなどが続き、学校・家庭・職場など複数の場面で日常生活上の困難が見られる場合に診断されると説明しています。詳しくは、こころの耳「注意欠如・多動症(ADHD)」を確認してください。
一方で、
集中できない=ADHD
ではありません。
似た状態は、睡眠不足や疲れなどでも起こります。
自分で診断しない
インターネットの記事を読んで、
当てはまる項目が多い
と思うことがあります。
しかし、発達障害では特徴が重なっている場合もあり、年齢や環境によって目立ち方も変わるとされています。
自分だけで診断名を決めるのではなく、
自分が何に困っているか
を整理してみましょう。
診断名より困っていることを見る
例えば、
授業で話を聞けない
仕事でミスが多い
締め切りを忘れる
周囲の音が気になる
などです。
診断名を探す前に、
生活の中で何が困っているのか
を具体的にします。
対策も考えやすくなります。
どんな場面なら集中できるか確認する
集中できない場面だけではなく、
集中できる場面
も確認してみましょう。
例えば、
ゲームならできる
一人ならできる
静かな場所ならできる
朝ならできる
ということがあります。
条件によって変わるなら、集中しやすい条件を増やすことができます。
一人なら集中できる場合
教室やオフィスでは集中できないけれど、一人になるとできる場合があります。
その場合は、
話し声
人の動き
などが影響しているかもしれません。
可能なら、静かな場所を利用してみましょう。
静かな環境を試す
注意集中が難しい場合の配慮として、厚生労働省の資料でも、
静かで集中できる環境を提供する
といった例が示されています。
周囲が気になるなら、
自習室
図書館
静かな席
などを試してみましょう。
人の動きが気になる場合
教室で、
誰かが立つ
廊下を人が通る
たびに見てしまうことがあります。
席を選べる場合は、
前方
壁側
など、人の動きが入りにくい場所を試す方法があります。
音が気になる場合
話し声。
キーボード。
生活音。
などが気になる場合があります。
勉強する場所を変える。
学校や職場のルール上問題なければ耳栓などを使う。
という方法があります。
集中力だけで音を無視しようとしなくても構いません。
一つの作業を最後まで続けられない場合
作業の途中で、
別のことを始める
場合があります。
その場合は、
今することを一つ書く
方法があります。
例えば、
数学3問
です。
終わったら次へ移ります。
途中で忘れてしまう場合
何をしていたか途中で分からなくなることがあります。
厚生労働省の合理的配慮の事例でも、注意集中が難しく最後までやり遂げにくい場合に、付箋などのメモを利用する工夫が紹介されています。
例えば、
次は4ページ
と残しておきましょう。
作業手順を分ける
複数の工程があると混乱する場合があります。
例えば、
資料を読む
↓
数字を入力する
↓
確認する
というように分けます。
一度に全部しようとしないようにします。
チェックリストを使う
忘れやミスが多い場合は、
頭の中で全部覚える
のではなく、チェックリストを使う方法があります。
例えば、
- 問題を読む
- 答える
- 見直す
という程度でも構いません。
終わったらチェックします。
集中時間を短くする
30分座り続けるのが難しいなら、
10分
15分
から始めます。
10分終わったら一区切りします。
必要ならもう一度始めます。
集中できる時間に合わせて作業を設計します。
25分にこだわらない
ポモドーロ・テクニックでは25分がよく使われますが、全員が25分に合わせる必要はありません。
自分が、
作業へ戻りやすい時間
を使います。
10分でも構いません。
集中が切れる前に休憩する
集中できなくなってから長く粘るより、
まだできそうなところで一区切り
する方法があります。
例えば、
15分作業
↓
短い休憩
です。
一回の集中時間を使い切らないようにします。
休憩でスマホを見続けない
短い休憩のつもりで、
SNS
YouTube
を見ると、そのまま戻れなくなる場合があります。
自分がそうなりやすいなら、
立つ
少し歩く
など、スマホを使わない休憩を試してみましょう。
興味を利用して勉強する
興味の薄い内容でも、自分の好きなものと結び付けられる場合があります。
例えば、
歴史が好きなら英語で歴史の記事を読む
などです。
ただし、すべての勉強を好きなものへ変えられるわけではありません。
使えるところだけ使います。
自分でテーマを決める
学校の課題以外に自由研究などができるなら、
自分が気になるもの
を選ぶ方法があります。
文部科学省でも、特異な才能のある児童生徒について、興味や関心に応じた学びを広げることが議論されています。
自分で選べる場面では、興味を使ってみましょう。
難しすぎても集中できない
授業が簡単すぎる場合だけではありません。
反対に、
難しすぎる
ため集中できないこともあります。
何を説明しているか分からない。
問題を読んでも手が出ない。
という状態なら、基本へ戻ります。
学習内容の難しさを確認する
簡単すぎる。
ちょうどいい。
難しすぎる。
のどこにあるかを考えてみましょう。
集中しやすいのは、
少し考えれば進められる
くらいの内容かもしれません。
自分に合う難易度を探します。
得意と苦手の差が大きい場合
ある教科はかなり得意だけれど、
別の教科では強く苦戦する
場合があります。
得意な部分があるからといって、苦手な部分まで一人で解決する必要はありません。
必要なら先生などへ相談してみましょう。
2Eという言葉を見た場合
ギフテッドについて調べると、
2E
という言葉を見ることがあります。
文部科学省の特異な才能に関する検討でも、いわゆる2Eの児童生徒が含まれています。
ただし、
得意なことと苦手なことがあるから2E
と自分だけで判断するものではありません。
まず具体的な困りごとを確認します。
ラベルを先に決めない
「自分はギフテッドだから」
「自分はグレーゾーンだから」
と結論を決めると、
だから集中できない
ですべてを説明したくなることがあります。
しかし、
今日は寝不足
授業が簡単すぎる
周囲がうるさい
など、別の原因があるかもしれません。
その日の条件も確認してみましょう。
睡眠不足がないか確認する
どんな特性があるかに関係なく、睡眠不足の日には集中しづらくなることがあります。
最近、
夜更かし
スマホ
などで睡眠時間が短くなっていないか確認してみましょう。
まず生活側から変えられることもあります。
ストレスが強くないか確認する
学校。
仕事。
人間関係。
などでストレスが強い場合、そのことばかり考えてしまうことがあります。
集中できない原因を、
特性だけ
にしないようにしましょう。
最近何が気になっているかも確認します。
体調が悪くないか確認する
疲れ。
頭痛。
眠気。
などがある場合があります。
その日は作業時間を短くする。
休む。
という方法があります。
特性に関係なく、その日の状態へ合わせます。
学校で困っている場合
授業へ集中できない。
簡単すぎて退屈。
周囲が気になる。
など、学校で困っている場合があります。
その状態が続くなら、
先生
保護者
スクールカウンセラー
などへ相談することも考えてみましょう。
「授業が簡単すぎる」と相談する場合
自分で、
自分はギフテッドです
と言う必要はありません。
例えば、
この単元はすでに理解していて、授業中に集中が切れます
と具体的な状況を伝えます。
困っている状態を共有します。
どこまでできるか見せる
授業内容が簡単だと感じるなら、
実際にどの程度問題を解けるか
を示せる場合があります。
先生と相談しながら、追加課題などが可能か確認してみましょう。
学校によって対応は異なります。
発展的な学びについて相談する
興味のある分野をもっと学びたい場合、
学校内でできるもの
学校外でできるもの
について相談する方法があります。
文部科学省でも、学校内外を含めた柔軟な学びや、個々の興味・関心に応じた学習機会が議論されています。
周囲の刺激で困る場合は具体的に伝える
「集中できません」だけではなく、
後ろの話し声があると先生の話が聞けません
など、具体的に伝えます。
状況が分かれば、席などの調整を相談しやすくなります。
仕事で困っている場合
大人の場合も、
集中できない
ミスが多い
仕事を最後まで進めにくい
と困ることがあります。
その場合も、まず困っている作業を具体的にします。
静かな環境。
メモ。
作業手順の分割。
など、仕事内容に合わせて試してみましょう。
自分が働きやすい方法を探す
例えば、
午前中に難しい仕事
午後に単純作業
など、時間帯を使い分ける方法があります。
一つの一般的な働き方へ無理に合わせるだけでなく、自分が仕事を進めやすい条件を探します。
集中できないことを才能の証明にしない
「ギフテッドは退屈すると集中できない」
という情報を見て、
自分も集中できないからギフテッドかも
と思うことがあります。
しかし、集中できない理由は多くあります。
集中できないこと自体は、才能の高さを証明するものではありません。
集中できないことを障害の証明にもしない
同じように、
集中できないから発達障害かも
と結論づける必要もありません。
集中について困っているなら、
いつから
どこで
どの程度
困っているかを確認します。
必要なら専門家へ相談します。
インターネットのチェックリストだけで決めない
セルフチェックをすると、
かなり当てはまる
ことがあります。
しかし、それだけで診断することはできません。
実際の生活でどのような困難があるのかを整理し、必要であれば専門機関へ相談しましょう。
困りごとをメモしておく
相談する場合は、
授業中に20分ほどで集中が切れる
話し声があると内容を聞けない
興味のある作業なら長くできる
など、具体例を残しておくと説明しやすくなります。
病名ではなく、実際の状態を書きます。
集中できる条件もメモする
困る場面だけではなく、
図書館ではできる
朝ならできる
なども残します。
どんな支援や工夫が合いそうか考える材料になります。
一人で困り続けない
集中しにくさによって、
学校生活
仕事
日常生活
へ大きな影響が出ている場合があります。
その状態が続いているなら、自分だけで原因を決めて対策し続ける必要はありません。
学校の先生や相談窓口、医療機関、発達障害者支援センターなどへ相談することも検討してください。
性格との関係が気になる場合は、集中できないのは性格のせい?と感じたときの考え方も参考にしてください。
Pomolikaで診断ではなく「集中条件」を試す
Pomolikaはブラウザで使えるポモドーロタイマーです。
ギフテッドなのか。
グレーゾーンなのか。
ということは、タイマーでは判断できません。
一方、
自分がどのくらいの時間なら作業しやすいか
を試すことはできます。
例えば、
することを一つ決める
↓
静かな場所へ移る
↓
スマホを離す
↓
Pomolikaを10分に設定する
↓
10分だけ作業する
という流れです。
次は、
15分
で試します。
また、
簡単な問題では集中できない
なら、少し難しい問題でも試してみます。
周囲の音があるとできない
なら、静かな場所でも試します。
自分にラベルを付けるためではなく、
どんな条件なら集中しやすいのか
を探すために使ってみましょう。
まとめ
集中できないと、
ギフテッドだから?
発達障害のグレーゾーンだから?
と考えることがあります。
しかし、集中できないという一つの状態だけで判断することはできません。
まず、
- 授業や仕事が簡単すぎないか
- 反対に難しすぎないか
- 興味のあるものには集中できるか
- 静かな場所なら集中できるか
- 周囲の音や人の動きが気になっていないか
- 作業を短時間にすると進められるか
- メモやチェックリストが役立つか
- 睡眠不足や疲れがないか
- ストレスが強くないか
- 生活にどの程度困りごとが出ているか
を確認してみましょう。
簡単すぎる授業で集中できない。
静かな場所なら集中できる。
興味のあることなら長く取り組める。
そうした条件を一つずつ見ていきます。
そして、
集中できないから自分は○○だ
と先に結論を出すのではなく、
自分はどんな条件なら集中しやすいのか
を探してみましょう。
困りごとが学校や仕事、日常生活へ大きく影響しているなら、一人でラベルを探し続けず、先生や相談機関、医療機関などへ相談することも検討してください。