「ギフテッドは先延ばししやすい?」
「能力があるはずなのに、なかなか課題を始められないのはなぜ?」
ギフテッドと先延ばしについて調べていると、
頭の回転が速いから締め切り直前でも間に合ってしまう
完璧主義だから始められない
といった説明を見かけることがあります。
しかし、
ギフテッドだから先延ばしする
と単純に考えることはできません。
実際の研究では、ギフテッドの学生を対象として、先延ばしだけでなく、
- 完璧主義
- 反すう
- 認知的柔軟性
などとの関係が調べられています。
大切なのは「ギフテッドだから」と性質だけで説明することではなく、
どのような状況で先延ばしが起きているのか
を見ることです。
この記事では、ギフテッドと先延ばしについて研究で分かっていることを確認しながら、作業を始めにくいときの対策を紹介します。
そもそもギフテッドとは?
ギフテッドという言葉には、能力や才能をどのように捉えるかによって複数の考え方があります。
単に、
IQが高い人
という一つの基準だけで説明できる概念ではありません。
ギフテッド教育の研究でも、能力を中心とする考え方、才能の発達を中心とする考え方、それらを統合する考え方など、複数の枠組みがあります。
そのためこの記事でも、
この特徴があればギフテッド
という自己診断は行いません。
ギフテッドと先延ばしについて研究されている内容を紹介することを目的とします。
ギフテッドと先延ばしを調べた研究がある
2024年に学術誌『BMC Psychology』で発表された研究では、学業面でギフテッドとされた高校生207人を対象として、
- 先延ばし
- 完璧主義
- 反すう
- 認知的柔軟性
の関係が調べられました。
研究では、それぞれを単独で見るのではなく、どのように関連しているのかがネットワーク分析によって調べられています。
その結果、先延ばしもネットワークの中で一定の重要性を持っていました。
特に注目されているのが、
ネガティブな完璧主義
と、
認知的柔軟性
です。
ただし、この研究だけから、
ギフテッドだから先延ばしする
という因果関係が示されたわけではありません。
研究対象も特定地域の高校生207人です。
「ギフテッドには先延ばしという問題がある」と一般化するのではなく、
ギフテッドの学生における先延ばしと関連する要因を調べた研究がある
と捉えるのが適切です。
完璧主義との関係
ギフテッドと先延ばしを考えるときに、一つのポイントになるのが完璧主義です。
先ほどの研究では、
ネガティブな完璧主義
が重要な要素として示されました。
ここで注意したいのは、
高い基準を持つこと自体が悪い
という話ではないことです。
先延ばし研究では、完璧主義の中でも、高い基準を目指す側面と、失敗への過度な懸念などの側面では、先延ばしとの関係が異なることが報告されています。
例えば、
「良いレポートを書きたい」
という目標が、そのまま先延ばしになるとは限りません。
一方、
「最初から完璧な内容にしなければ」
「間違ったものを書きたくない」
と考えて手が止まっているなら、最初の一歩を小さくする方法があります。
完成したレポートを書く
ではなく、
見出しを3つ作る
ところから始めます。
完璧主義と先延ばしについては、完璧主義だと先延ばししやすい?始められないときの対策でも詳しく紹介しています。
考え続けて始められないこともある
2024年の研究では、反すうも先延ばしなどとあわせて分析されています。
反すうとは、同じことについて繰り返し考え続ける状態を指します。
例えば、
「失敗したらどうしよう」
「もっと良い方法があるのでは」
「前にも同じことで失敗した」
と考え続け、実際の作業へ移れない状態です。
もちろん、十分に考えてから行動したほうがよいこともあります。
問題は、
考えることによって作業が前へ進んでいるか
です。
考え続けているのに何も変わっていないなら、
考える → 少し作る → また考える
と途中に行動を入れてみましょう。
例えば、
「レポートの構成をどうするか」
と30分考え続けるのではなく、
仮の構成を10分で作ってみる
という方法があります。
形にしたものを見ながら考えたほうが、次の判断がしやすくなる場合があります。
認知的柔軟性にも注目されている
同じ研究では、認知的柔軟性も重要な要素として示されています。
簡単にいえば、
状況に応じて考え方や対応を変える
ことに関係する概念です。
例えば、
「最初に決めた方法でうまくいかない」
というときに、
別の方法を試してみる
ことができます。
先延ばし対策でも、この考え方は使えます。
25分集中する予定だったけれど始められない。
それなら10分にする。
最初から文章を書けない。
それなら箇条書きにする。
A案かB案か決められない。
それならA案を仮で作ってみる。
最初に決めた方法を守ることより、
今の状態で始められる方法へ変える
ことを考えてみましょう。
先延ばしする人は「天才」なの?
「天才は先延ばしする」「頭のいい人ほど締め切り直前まで動かない」といった説明を見かけることがあります。
しかし、先延ばししているという事実だけで、その人の能力が高い、あるいは天才だと判断することはできません。
短時間で課題を終えられた経験が何度もあれば、
今回も後で始めれば間に合う
と考えることはあるかもしれません。
ただし、それは過去の成功経験から開始を遅らせている可能性があるという話であり、
先延ばしする人ほど能力が高い
ことを意味しません。
この記事で紹介している2024年の研究も、学業面でギフテッドとされた高校生の中で、先延ばし、完璧主義、反すう、認知的柔軟性がどのように関連するかを調べたものです。先延ばしを手がかりに、誰が天才かを判定した研究ではありません。
「自分は能力があるから大丈夫」と考えて開始を遅らせるより、まず10分だけ取り組み、作業量や難しさを確認するほうが予定を立てやすくなります。
「能力があるから後でやっても大丈夫」とは限らない
ギフテッドと先延ばしを語るとき、
能力が高いので締め切り直前でも間に合ってしまう
という説明がされることがあります。
確かに、短時間で課題を終えられた経験があれば、
「今回も後で大丈夫」
と考えることはあるかもしれません。
しかし、すべての作業が同じ時間で終わるとは限りません。
課題が難しくなる。
必要な情報が増える。
他の人への確認が必要になる。
予定外の問題が起きる。
といったことがあります。
そこで、
早く完成させる
のではなく、
早く一度触ってみる
という方法があります。
10分だけ取り組んでみれば、どのくらい難しいのか、何が足りないのかを確認できます。
簡単すぎる課題で取り組みにくい場合
ギフテッドの学習環境については、課題へのエンゲージメントも研究されています。
課題が自分にとって簡単すぎたり、学ぶ意味を感じにくかったりすれば、取り組みにくくなることも考えられます。
この場合、
意志が弱いから始められない
だけで説明するのは適切ではありません。
可能であれば、
- 課題の難易度を調整する
- 自分なりの目標を追加する
- 作業する意味を確認する
- 教師などに学習内容を相談する
といった環境側の調整も選択肢になります。
先延ばし対策を本人の努力だけの問題にしないことも重要です。
「ギフテッドだから」で終わらせない
自分が先延ばしする理由を、
ギフテッドだから
と考えると、それ以上原因を探さなくなることがあります。
しかし、実際には、
最初から高い完成度を求めている
のか、
考え続けて決められない
のか、
課題に意味を感じられない
のか、
締め切りまでの時間を楽観的に見積もっている
のかで、対策は変わります。
「自分はどんな人なのか」だけではなく、
今回の作業では何が始めにくいのか
を確認してみましょう。
最初の一歩を小さくする
原因が何であっても、作業が大きすぎる場合は最初の行動を小さくできます。
例えば、
レポートを書く → 見出しを3つ作る
試験勉強をする → 問題を5問解く
プレゼン資料を作る → 1ページ目の内容を箇条書きする
という形です。
能力があるかどうかではなく、
今から実際にできる行動
まで具体的にします。
Pomolikaで「まず試す時間」を作る
Pomolikaはブラウザで使えるポモドーロタイマーです。
先延ばししているときは、
最後まで終わらせる時間
ではなく、
一度その作業を試してみる時間
として使う方法があります。
例えば、
レポートを完成させる
ではなく、
10分で構成案を作ってみる
と決めます。
そして、
最初にすることを一つ決める
↓
Pomolikaで短い時間を設定する
↓
その方法で一度やってみる
↓
タイマーが鳴ったら次の方法を考える
という流れです。
やってみて合わなければ、方法や時間を変えて構いません。
考え続けてから最適な方法を決めるのではなく、
小さく試してから調整する
ための区切りとして使ってみましょう。
まとめ
ギフテッドと先延ばしについては、実際にギフテッドの学生を対象とした研究があります。
ただし、
ギフテッドだから先延ばししやすい
と単純に結論づけることはできません。
研究では、
- 先延ばし
- 完璧主義
- 反すう
- 認知的柔軟性
などの関係が調べられています。
先延ばししている場合は、「ギフテッドだから」と考えるだけではなく、
- 最初から高い完成度を求めていないか
- 同じことを考え続けていないか
- 別の方法へ切り替えられない状態になっていないか
- 課題に取り組む意味を感じられているか
- 「後でも間に合う」と考えていないか
など、実際に止まっている場所を確認してみましょう。
自分自身の性質を変えようとするより、
今回の作業を始めるために何を変えればいいか
を考えるほうが、次の行動を決めやすくなります。