「先延ばしぐらいでカウンセリングに行ってもいい?」
「何度直そうとしても先延ばししてしまう」
「先延ばしの原因を誰かと整理したい」
先延ばしというと、
タスク管理。
時間管理。
やる気。
の問題だと思われがちです。
しかし実際には、
失敗するのが怖い。
完璧にできないと始めたくない。
課題を見るだけで不安になる。
先延ばししたあと強く自分を責める。
といった心理的な問題が重なっている場合があります。
そんなとき、
先延ばしをカウンセリングで相談する
という選択肢があります。
もちろん、
先延ばしをする人全員がカウンセリングを受ける必要はありません。
自分で工夫して改善できる先延ばしもあります。
一方、
何度対策しても同じことを繰り返す。
先延ばしによって仕事や学業に支障が出ている。
不安や自己嫌悪が強い。
という場合は、一人で対策を続けるだけではなく、専門家と一緒に整理することもできます。
この記事では、先延ばしをカウンセリングで相談できるのか、どのようなことを話すのか、どんな人が相談を検討するとよいのかを紹介します。
先延ばしはカウンセリングで相談できる?
結論からいうと、
先延ばしについてカウンセリングで相談することはできます。
厚生労働省はカウンセリングについて、
悩みやつらい気持ちを話し、専門家と一緒に問題を整理したり、自分の考え方や行動を見直したりする支援として説明しています。
カウンセリングは、
答えを代わりに出してもらう場所
とは限りません。
自分が何に困っているのか。
なぜ同じ行動を繰り返しているのか。
どのような考え方の癖があるのか。
を整理していく場所でもあります。
「先延ばしを治してください」と相談していい?
相談して構いません。
最初から、
「完璧主義が原因だと思います」
「自己効力感の問題があります」
などと原因を分析しておく必要もありません。
例えば、
仕事を毎回締め切り直前まで先延ばししてしまいます
だけでも相談できます。
そこから、
どんな仕事を先延ばしする?
始めようとすると何を感じる?
先延ばししている間は何をしている?
いつごろから困っている?
生活にどの程度影響している?
といったことを整理していきます。
つまり、
原因が分からないから相談できない
のではありません。
原因が分からないからこそ、相談しながら整理するという使い方もできます。
カウンセリングでは何をする?
カウンセリングの内容は、相談先や方法によって異なります。
ただ、
先延ばしという結果だけを見るのではなく、その前後に何が起きているのかを整理する
ことが一つのポイントになります。
例えば、
資料を作らなければいけない。
↓
「ちゃんと作らないと評価が下がる」と考える。
↓
不安になる。
↓
メールや簡単な仕事へ逃げる。
↓
資料を先延ばしする。
↓
締め切り直前になる。
↓
「また自分はダメだった」と責める。
という流れがあるかもしれません。
本人から見ると、
先延ばし癖
に見えます。
しかし詳しく見ると、
その前にある、
失敗への不安
が重要かもしれません。
カウンセリングでは、こうしたパターンを一緒に整理していくことがあります。
先延ばしの原因は人によって違う
先延ばしには、さまざまな要因が関係しています。
例えば、
課題が嫌い。
難しそう。
失敗が怖い。
完璧にやりたい。
自信がない。
疲れている。
誘惑に負ける。
何から始めればいいか分からない。
といったものです。
だから、
すべての先延ばしに同じ対策が効くわけではありません。
例えば、
スマホを見てしまう人なら環境を変えることが役立つかもしれません。
一方、
失敗が怖くて始められない人に、
「スマホを遠くへ置きましょう」
だけでは問題が残ります。
先延ばしの心理については、なぜ先延ばししてしまう?心理学から考える原因とメカニズムでも紹介しています。
不安が強くて先延ばしする場合
例えば、
上司へ資料を提出する。
という仕事があります。
作業そのものはできます。
でも、
「間違っていたらどうしよう」
「指摘されたくない」
「評価が下がるかもしれない」
という不安があります。
すると、
資料へ向き合うこと自体が嫌になります。
そして、
メールを見る。
別の簡単な仕事をする。
ネットを見る。
という行動を取ります。
短期的には、
不安から離れられます。
しかし資料は残ります。
締め切りが近づくと、さらに不安になります。
この場合、
先延ばしだけではなく、
不安との付き合い方
を考えることが必要かもしれません。
先延ばしと不安については、不安や恐怖で先延ばししてしまう?も参考にしてください。
完璧主義で先延ばしする場合
「ちゃんとやらなければ」
という考えが強いほど、始めにくくなる場合があります。
例えば、
資料を作る。
ではなく、
誰にも指摘されない完璧な資料を作る
になっています。
すると、最初の一文字から重くなります。
こんなとき、
先延ばしを減らすには、
作業時間を増やすだけではなく、
自分がどの程度の完成度を求めているのか
を整理する必要があります。
カウンセリングでは、
「本当に100点でなければいけない?」
「70点だったら何が起きる?」
「どこまでなら許容できる?」
といった考えを整理することがあります。
先延ばしと完璧主義については、先延ばしと完璧主義の関係は?も参考にしてください。
自己嫌悪が先延ばしを続けさせることもある
先延ばしすると、
「またできなかった」
「自分は本当にだめだ」
と自分を責めることがあります。
すると、
次の仕事を見る。
↓
以前の失敗を思い出す。
↓
嫌な気分になる。
↓
また避ける。
という循環になることがあります。
つまり、
先延ばし。
↓
自己嫌悪。
↓
次の先延ばし。
という悪循環です。
カウンセリングでは、
先延ばしした事実
と、
自分自身への評価
を分けて考えることがあります。
「資料を先延ばしした」
ことと、
「自分はだめな人間だ」
は同じ意味ではありません。
先延ばしと自己嫌悪については、先延ばしで罪悪感・自己嫌悪になるのはなぜ?でも紹介しています。
認知行動療法は先延ばしにも研究されている
先延ばしへの心理的介入として比較的研究されている方法の一つが、
認知行動療法(CBT)
です。
認知行動療法では、
状況。
考え。
感情。
行動。
の関係を整理しながら、考え方や行動のパターンを変えていきます。
例えば、
状況
レポートを書かなければいけない。
考え
完璧に書かなければいけない。
感情
不安。
行動
先延ばしする。
という流れを整理します。
そして、
最初から完璧を目指さない。
作業を小さくする。
開始時間を決める。
不快な感情があっても少し行動する。
といった方法を試します。
心理的介入には一定の効果が報告されている
2018年に発表された系統的レビュー・メタ分析では、
先延ばしに対する心理的介入について、
12研究、718人
が分析されました。
心理的介入全体では、対照群と比べて、
小さな改善効果
が報告されています。
その中でも認知行動療法については、
中程度の効果
が報告されました。
ただし、認知行動療法の分析対象となった研究数は少なく、研究間の違いもあるため、
CBTを受ければ必ず先延ばしが治る
とまではいえません。
それでも、
先延ばしは単なる意志の弱さとして扱うだけではなく、
心理的な介入の対象として研究されている
ことが分かります。
参考: PubMed:Targeting Procrastination Using Psychological Treatments
重度の先延ばしを対象にしたCBT研究もある
同じ研究グループによるランダム化比較試験では、
重度の先延ばしに悩む大学生92人
を対象に、
インターネットを使った自己実施型CBT。
グループ形式のCBT。
が8週間行われました。
両方のグループで先延ばしの改善がみられています。
6か月後の追跡では、
グループCBTの参加者では改善が維持または継続していた一方、自己実施型では一部に悪化傾向もみられました。
この研究だけですべての人への効果を判断することはできません。
ただ、
深刻な先延ばしについて、専門的な心理支援を受けること自体が研究対象になっている
ことは分かります。
参考: PubMed:Treating Procrastination Using Cognitive Behavior Therapy
カウンセリングが向いていそうなのはどんな人?
明確な基準があるわけではありません。
ただ、
自分一人で対策を続けるより、誰かと整理したほうがよさそう
と感じるなら相談できます。
例えば、
何度対策しても同じ先延ばしを繰り返す。
先延ばしすると強い不安や自己嫌悪になる。
失敗への恐怖で行動できない。
完璧主義が強く、仕事を始められない。
仕事や学業に支障が出ている。
自分でもなぜ先延ばしするのか分からない。
という場合です。
カウンセリングは、
困りごとが限界になるまで我慢してから行く場所
と決まっているわけではありません。
「このパターンを整理したい」
という段階で相談することもできます。
カウンセリングと医療機関は同じ?
同じではありません。
カウンセリングでは、
気持ち。
考え方。
行動。
人間関係。
などを整理する支援が中心になります。
一方、
強い気分の落ち込み。
眠れない状態が続く。
極端に疲れている。
日常生活が大きく崩れている。
など、心身の状態について医療的な評価が必要な場合は、
精神科や心療内科など医療機関への相談が適切なこともあります。
先延ばしそのものだけから、
どの相談先が必要かを自己判断するのは難しいこともあります。
迷う場合は、公的な相談窓口から相談先について案内を受ける方法もあります。
先延ばしだけで病気とは判断できない
カウンセリングを調べていると、
ADHD。
うつ病。
不安症。
などの情報を見ることがあります。
しかし、
先延ばししているという一つの行動だけで病気を判断することはできません。
先延ばしは多くの人に起こる行動です。
一方で、
先延ばし以外にもさまざまな困りごとがある。
以前より急に動けなくなった。
生活への支障が大きい。
という場合は、先延ばし対策だけで済ませず専門家へ相談することも考えてみましょう。
深刻な先延ばしについては、病的な先延ばしとは?でも紹介しています。
カウンセリングへ行く前に整理しておくと話しやすいこと
特別な準備は必要ありません。
ただ、
「先延ばしで困っています」
だけでは何を話せばいいか不安なら、簡単にメモを作っておく方法があります。
例えば、
何を先延ばしする?
仕事の資料。
どのくらい困っている?
毎回締め切り直前になる。
いつから?
半年ほど前から。
始めようとすると何を感じる?
失敗するのが怖い。
先延ばし中は何をする?
簡単な仕事やSNSを見る。
この程度で構いません。
きれいに原因分析する必要はありません。
困っている事実を持っていく
だけでも相談の入口になります。
カウンセラー選びでは資格も確認する
日本では「カウンセラー」という名称だけでは、資格や専門性が分からない場合があります。
相談先を選ぶときは、
どのような資格を持っているか。
どのような相談を専門としているか。
どのような方法で支援しているか。
料金。
頻度。
などを確認するとよいでしょう。
心理職の国家資格としては、
公認心理師
があります。
また、臨床心理士などの資格を持つ相談員もいます。
先延ばしについて相談したいなら、
認知行動療法。
不安。
完璧主義。
仕事や学業の悩み。
などを扱っているか確認する方法もあります。
一回話しただけで先延ばしがなくなるわけではない
カウンセリングへ行けば、
「明日から先延ばししなくなる」
とは限りません。
例えば、
自分が先延ばしするパターンを知る。
↓
小さな行動を試す。
↓
うまくいかなかった理由を確認する。
↓
方法を調整する。
という形で進むことがあります。
つまり、
相談して答えをもらって終わり
というより、
自分の行動を観察しながら方法を試していくイメージです。
自分でできる対策とカウンセリングは両立できる
カウンセリングを利用するからといって、
タイマー。
タスク管理。
作業の細分化。
環境づくり。
などをやめる必要はありません。
例えば、
カウンセリングで、
完璧にやろうとすると始められなくなる
と気づいたとします。
そこで日常では、
資料を完成させる。
ではなく、
10分で下書きを作る
という行動を試します。
そして次回、
やってみてどうだったか。
どこでまた止まったか。
を整理します。
心理的な整理と具体的な行動を組み合わせることができます。
Pomolikaはカウンセリングの代わりではない
Pomolikaはブラウザで使えるポモドーロタイマーです。
先延ばしの原因がある程度分かっていて、
まず小さく行動を始めたい
ときには使えます。
例えば、
カウンセリングや自分での振り返りで、
「最初から完成させようとして動けなくなる」
と分かったとします。
そこで、
今日の最小タスクを決める
↓
Pomolikaを10分に設定する
↓
10分だけ下書きを作る
↓
時間が来たら一度終了する
という使い方ができます。
ただし、
Pomolikaは心理相談や治療を行うサービスではありません。
強い不安や心理的な苦痛がある場合に、
タイマーだけで何とかしなければいけない
と考える必要はありません。
自分でできる工夫と、必要に応じた専門家への相談を使い分けましょう。
どこへ相談すればいいか分からない場合
カウンセリングを受けたいと思っても、
どこへ行けばいいか分からない。
医療機関へ行くほどなのか分からない。
ということもあります。
厚生労働省では、
保健所。
保健センター。
精神保健福祉センター。
こころの健康相談統一ダイヤル。
など、公的な相談先を案内しています。
全国共通の「こころの健康相談統一ダイヤル」は、電話をかけた地域の公的な相談機関につながる仕組みです。
相談対応時間は地域によって異なります。
参考: 厚生労働省:困ったときの相談先
まとめ
先延ばしは、
カウンセリングで相談できる悩みの一つ
です。
先延ばしの背景には、
不安。
完璧主義。
自己否定。
失敗への恐怖。
課題への嫌悪感。
など、さまざまな要因が関係することがあります。
カウンセリングでは、
単に、
「もっと早くやりましょう」
と考えるのではなく、
なぜその仕事を避けるのか、その前に何を考え、何を感じているのか
を整理することができます。
また、先延ばしへの心理的介入については研究もあり、特に認知行動療法は一定の改善効果が報告されています。
もちろん、
少し先延ばしするだけなら、自分で対策することもできます。
タスクを小さくする。
開始時間を決める。
タイマーを使う。
環境を変える。
といった方法です。
一方、
何度試しても変わらない。
強い不安や自己嫌悪がある。
仕事や学業に大きな支障が出ている。
自分では理由が分からない。
という場合は、
先延ばしぐらいで相談していいのかな
とためらう必要はありません。
先延ばしをなくす方法を一人で探し続けるのではなく、
なぜ先延ばししてしまうのかを誰かと整理する。
カウンセリングには、そんな使い方もあります。