「寝たほうがいいのに、なぜか寝るのを先延ばししてしまう」
「仕事を先延ばしした結果、夜になって徹夜することがある」
先延ばしと睡眠を考えるときには、大きく二つのパターンがあります。
一つは、
寝ること自体を先延ばしして夜更かしすること。
もう一つは、
仕事や勉強を先延ばしした結果、夜に作業すること。
どちらも結果として睡眠時間が短くなる可能性がありますが、起きていることは少し違います。
特に、寝る時間になってもスマホや動画などを続けてしまい、予定より遅く寝る行動は、
就寝先延ばし(bedtime procrastination)
として研究されています。
この記事では、先延ばしと睡眠の関係、寝ることを先延ばししてしまう理由、夜更かしや徹夜を減らすための考え方を紹介します。
寝ることも先延ばしする?
先延ばしというと、
仕事。
勉強。
掃除。
返信。
などを後回しにすることをイメージするかもしれません。
しかし、
寝ることそのものを先延ばしする
こともあります。
例えば、
23時には寝ようと思っていた。
↓
23時になったけれど動画を見る。
↓
もう一本だけ見る。
↓
SNSも少し見る。
↓
気づいたら0時30分。
という状態です。
「寝たい時間」があったにもかかわらず、特別な事情がないのに自分で就寝を遅らせています。
このような行動は研究で、
就寝先延ばし
と呼ばれています。
就寝先延ばしとは?
就寝先延ばしについて初期の研究を行ったKroeseらは、
外的な事情によって妨げられているわけではないのに、意図していた時間に就寝しないこと
として就寝先延ばしを扱っています。
例えば、
残業で帰宅が遅くなった。
赤ちゃんの世話をしていた。
電車が遅れて帰宅できなかった。
といった理由で寝る時間が遅くなるのとは違います。
寝られる状況だった。
自分でも寝ようと思っていた。
それでも、
別のことを続けて寝る時間を遅らせた。
という状態です。
就寝先延ばしは睡眠時間と関係している
2022年に『Sleep Medicine Reviews』へ掲載された系統的レビュー・メタ分析では、就寝先延ばしに関する43研究が分析されています。
その結果、就寝先延ばしは、
短い睡眠時間
低い睡眠の質
日中の疲労
と関連していました。
ただし、研究のエビデンスの確実性には限界があり、研究者も因果関係を明らかにするためには、さらに質の高い研究が必要だとしています。
つまり、
夜更かしを先延ばしだけですべて説明できる
という意味ではありません。
それでも、
「寝ようと思っているのに寝ない」
という行動が睡眠不足を考える一つの要素として研究されていることは知っておくとよいでしょう。
「寝たいのに寝ない」のはなぜ?
例えば、
もう23時。
明日も仕事。
眠い。
それでも、
動画をもう一本だけ見たい。
ということがあります。
寝ることには少し特殊なところがあります。
仕事なら、
仕事をする
という行動を始めます。
一方、寝るときには、
動画を見る。
ゲームをする。
SNSを見る。
漫画を読む。
といった、
今やっている楽しいことをやめる
必要があります。
つまり、
「寝る」という行動を始めるだけではなく、
今やっていることを終了する
必要があります。
これが寝ることを後回しにする一つの場面になります。
スマホを見ているうちに寝る時間を過ぎる
就寝前の先延ばしで分かりやすいのがスマホです。
例えば、
寝る前に少しだけSNSを見る。
↓
別の投稿を見る。
↓
動画を見る。
↓
関連動画を見る。
↓
時計を見る。
↓
もう0時。
ということがあります。
ここで、
スマホ=就寝先延ばしの原因
と単純に決める必要はありません。
問題は、
寝ようと決めた時間になっても、その行動を終了できない
ことです。
スマホ以外でも、
ゲーム。
漫画。
動画。
テレビ。
読書。
などで同じことは起こります。
夜更かしと就寝先延ばしは同じ?
夜更かししたからといって、すべて就寝先延ばしとは限りません。
例えば、
友人と夜まで出かける予定だった。
夜勤だった。
仕事が予定より長引いた。
翌日が休みなので意図的に遅く寝た。
といった場合があります。
一方、
23時に寝ようと思っていたのに、特に理由もなく動画を見続けて1時になった
なら、就寝先延ばしとして考えやすくなります。
ポイントは、
自分が意図していた就寝時間を、不必要に後へ延ばしたか
です。
仕事の先延ばしが睡眠不足につながることもある
睡眠との関係では、
寝ること自体の先延ばし
だけではありません。
例えば、
明日提出する資料がある。
↓
昼間にやろうと思っていた。
↓
先延ばしする。
↓
夕方になった。
↓
さらに先延ばしする。
↓
22時になってようやく始める。
↓
終わったのは深夜2時。
ということもあります。
この場合、
睡眠を先延ばししたというより、仕事を先延ばしした結果として寝る時間が遅くなっています。
仕事を先延ばしした時間は戻ってきません。
そのため締め切りが固定されていると、
最後に削られるのが睡眠時間
になることがあります。
勉強を先延ばしして徹夜する
試験勉強やレポートでも同じことがあります。
提出まで1週間。
↓
まだ大丈夫。
↓
提出3日前。
↓
まだ間に合う。
↓
前日。
↓
もうやるしかない。
↓
徹夜する。
という流れです。
徹夜できたことで、
何とか間に合った
と思うかもしれません。
しかし、
先延ばしした時間を睡眠時間で取り戻している
とも考えられます。
毎回この方法を使っているなら、
「徹夜に強くなる」より、
作業をもう少し早く始められないか
を考えるほうが根本的な対策になります。
睡眠不足になるとどうなる?
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、睡眠不足は、
日中の眠気や疲労。
注意力や判断力の低下。
学業・仕事の生産性低下。
などにつながるとされています。
また、慢性的な睡眠不足はさまざまな健康リスクとの関連も指摘されています。
成人については、
6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する
ことが推奨されています。
ただし、必要な睡眠時間には個人差があります。
「6時間寝れば全員十分」という意味ではありません。
自分に必要な睡眠時間を確保し、睡眠による休養感も確認することが重要です。
「睡眠時間を削れば間に合う」を前提にしない
先延ばしして締め切りが近づくと、
最悪、夜やればいい
と考えることがあります。
例えば、
昼間にできなくても夜やればいい。
↓
夜になっても終わらない。
↓
寝る時間を1時間遅らせる。
↓
それでも終わらない。
↓
さらに遅らせる。
という状態です。
睡眠時間が、
先延ばしした仕事の予備時間
になっています。
この考え方があると、
昼間に先延ばしするときも、
「まだ夜がある」
と思えてしまいます。
そこで、
寝る時間は締め切りとして固定する
という考え方があります。
23時30分に寝るなら、
仕事の締め切りは23時30分ではありません。
その前に、
片付け。
入浴。
就寝準備。
などの時間も必要です。
「寝る時間」ではなく「やめる時間」を決める
就寝先延ばしを減らしたいなら、
0時に寝る
だけでは足りないことがあります。
0時になった瞬間までゲームをしていたら、
そこから、
ゲームを終える。
歯を磨く。
着替える。
ベッドへ行く。
という行動が必要だからです。
そこで、
寝る時間より前に、今の活動をやめる時間を決める
方法があります。
例えば、
23時30分 スマホ・PCを終える
↓
23時40分 歯磨き・就寝準備
↓
0時 就寝
という形です。
「寝る」という行動だけでなく、
寝るために何を終了する必要があるか
まで考えてみましょう。
夜の「もう少しだけ」を具体的にする
就寝先延ばしでは、
もう少しだけ
という言葉が出てきます。
もう一話。
もう一本。
もう一局。
もう少しSNS。
しかし、
「もう少し」には終了時刻がありません。
そこで、
23時30分になったら終了する
というように、時間で区切ります。
あるいは、
動画はあと一本。
漫画はこの話まで。
ゲームはこの試合まで。
というように、
終了地点を先に決める
方法もあります。
重要なのは、
終わりをその場の気分だけで決めないことです。
仕事は「今日中」ではなく終了時間を決める
仕事や勉強の先延ばしから夜更かしする場合も、
今日中にやる
だけでは終了時間がありません。
例えば、
「今日中に資料を進める」
ではなく、
21時から21時30分まで資料を進める
とします。
終わらなかったら、
翌日の開始時間も決めます。
こうすると、
終わるまで寝ない
という状態を避けやすくなります。
特に締め切りまで数日あるなら、
一晩ですべて終わらせるより、
複数日に分ける
こともできます。
先延ばししたからといって徹夜で取り返さない
昼間に先延ばしすると、
その分、夜に頑張らなければ
と思うことがあります。
しかし、
先延ばしした自分への罰として睡眠を削る
必要はありません。
例えば、
予定していた2時間の勉強ができなかった。
↓
夜中まで2時間勉強する。
ではなく、
今日は30分だけ進め、残りを翌日に組み直す
という選択肢もあります。
もちろん、締め切りによっては予定変更が難しい場合もあります。
だからこそ、
締め切り直前になる前に少しでも着手する
ことが重要になります。
10分だけ始めて夜への持ち越しを減らす
仕事や勉強の先延ばしによる夜更かしなら、
昼間のうちに、
10分だけ始める
方法があります。
例えば、
資料を10分。
レポートを10分。
勉強を10分。
メールを10分。
です。
10分で終わらなくても、
どれくらい時間がかかりそうか。
何が難しいのか。
何からやればいいのか。
が見えてきます。
夕方まで完全に未着手の状態より、
少しでも進んでいる状態
を作れます。
寝る前に「明日の最初」を決める
寝る直前に、
まだあれをやっていない
と思い出すと、夜に作業したくなることがあります。
そんなときは、
今から全部やるのではなく、
明日いつ再開するか
を決めます。
例えば、
「明日の9時から資料の続きを20分やる」
と書いておきます。
やること。
開始時間。
最初の作業。
まで決めておけば、
忘れないために頭の中で考え続ける
必要を減らせます。
眠れないことと就寝先延ばしは別
ここは分けて考える必要があります。
ベッドへ入った。
寝ようとしている。
でも眠れない。
という状態は、
寝ることを先延ばししている状態とは異なります。
就寝先延ばしは、
寝られる状況で、
自分から就寝を後へ延ばしている
ことを扱う概念です。
睡眠について困っているからといって、すべてを「先延ばし癖」で説明する必要はありません。
睡眠の問題が続いている場合は、厚生労働省の睡眠情報なども確認し、必要に応じて医療機関へ相談してください。
Pomolikaで夜更かしする前に作業を少し進める
Pomolikaはブラウザで使えるポモドーロタイマーです。
仕事や勉強を先延ばしして、
夜にまとめてやる
ことが多いなら、
昼間のうちに短時間だけ始めるために使えます。
例えば、
今日やる必要があることを一つ選ぶ
↓
10分でできる作業まで小さくする
↓
Pomolikaを10分に設定する
↓
10分だけ始める
という流れです。
資料なら、
見出しだけ。
レポートなら、
構成だけ。
勉強なら、
問題を数問だけ。
最初から25分や1時間にする必要はありません。
目的は、
先延ばしした作業を夜へ丸ごと持ち越さないこと
です。
そして夜になったら、
仕事のタイマーではなく、
今日は何時に作業を終えるか
も決めておきましょう。
まとめ
先延ばしと睡眠には、大きく二つの関係があります。
一つは、
寝ること自体を先延ばしして夜更かしすること。
もう一つは、
仕事や勉強を先延ばしした結果、夜に作業して睡眠時間を削ること。
特に、寝ようと思っている時間になっても、外的な理由がないのに就寝を遅らせる行動は、
就寝先延ばし(bedtime procrastination)
として研究されています。
就寝先延ばしは研究で、短い睡眠時間や低い睡眠の質、日中の疲労などとの関連が報告されています。
対策するときは、
何でも早く終わらせようとするのではなく、
昼間に10分だけ着手する。
夜の作業終了時間を決める。
寝る時間だけでなく、スマホやPCをやめる時間を決める。
先延ばしした作業を徹夜で取り返そうとしない。
といった方法を試してみましょう。
「寝なければ」と思いながら夜更かししているなら、
何時に寝るかだけではなく、何時に今やっていることをやめるか。
そこから決めてみましょう。