「先延ばししてしまうのは自分だけなのだろうか」。
やらなければいけないことを後回しにすると、そう思うことがあります。
実際には、先延ばしは珍しい行動ではありません。
ただし、
先延ばしする人は○%
と一つの数字だけで表すのは難しいものです。
研究によって、
- 成人を対象にするか
- 大学生を対象にするか
- ときどき先延ばしする人を含めるか
- 慢性的な先延ばしだけを見るか
- どの尺度で測定するか
などが異なるためです。
この記事では、先延ばしする人の割合について、研究で報告されているデータを紹介します。
先延ばしする人はどのくらいいる?
研究によって定義や対象が異なるため単純比較はできませんが、おおまかに整理すると次のような報告があります。
| 対象 | 報告された割合 | 内容 |
|---|---|---|
| 成人 | 約20% | 慢性的な先延ばしを自認 |
| 6か国の成人 | 覚醒型13.5%、回避型14.6% | 2種類の慢性的な先延ばしを自認 |
| 大学生 | 80〜95% | 何らかの先延ばしをするという推定値 |
| トルコの大学生 | 52% | 頻繁な学業上の先延ばしを自己申告 |
数字には幅があります。
特に大学生では、
一度でも先延ばしする人
と、
頻繁・慢性的に先延ばしする人
を同じものとして扱わないことが重要です。
成人では約20%という研究がある
成人の先延ばしについてよく引用される研究の一つが、HarriottとFerrariによる1996年の研究です。
この研究では211人の成人を対象に調査し、42人、約20%が自分を慢性的な先延ばしをする人だと回答しました。
つまり、
成人の5人に1人程度
という計算になります。
ただし、この研究は1996年に行われた比較的小規模な調査です。
現在の日本人全体の20%が慢性的に先延ばししている、とそのまま読み替えることはできません。
あくまで、
成人を対象にした一つの研究では約20%だった
というデータとして見る必要があります。
6か国の調査では2種類の先延ばしが13〜15%程度
2007年には、スペイン、ペルー、ベネズエラ、イギリス、オーストラリア、アメリカの成人を対象にした研究も発表されています。
対象者は、
男性582人、女性765人の合計1,347人
です。
この研究では、慢性的な先延ばしについて調べた結果、覚醒を求めて遅らせる「覚醒型」が13.5%、課題を避けて遅らせる「回避型」が14.6%と報告されています。
また、この研究では調査した国や性別による有意な違いは確認されませんでした。
先ほどの約20%という研究とは数字が異なります。
この違いからも、
「先延ばしする人は必ず○%」とは言えない
ことが分かります。
大学生では先延ばしする割合が高い
先延ばしは、特に大学生を対象に多く研究されています。
2007年に発表されたSteelのレビューでは、大学生の80〜95%が何らかの形で先延ばしをするという推定値が紹介されています。
一方、Dayらが248人の大学生を対象に行った調査では、
32%が深刻な先延ばしをする人に分類された
と報告されています。
ここでも、
先延ばしを経験したことがある
ことと、
日常的に深刻な先延ばしをする
ことでは意味が違います。
52%が「頻繁に先延ばしする」と回答した研究もある
2009年にトルコの大学生を対象に行われた研究では、784人を調査しています。
その結果、
52%の学生が学業上の作業を頻繁に先延ばしすると自己申告した
と報告されています。
大学生の半数程度が頻繁な先延ばしを報告したことになります。
ただし、この数字についても、
世界中の大学生の52%が先延ばしする
という意味ではありません。
国、調査方法、質問内容などによって結果は変わります。
なぜ研究によって割合が違うのか
先延ばしの統計を見ると、
約15%
約20%
50%以上
80%以上
など、大きく異なる数字が出てきます。
理由の一つは、何を「先延ばし」とするかが違うためです。
例えば、
レポートを一度後回しにしたことがある
人まで含める場合、割合は高くなります。
一方、
日常生活で慢性的に先延ばしする
人だけを対象にすれば、割合は低くなります。
さらに、
- 調査対象の年齢
- 学生か一般成人か
- 国や地域
- 使用する質問票
- 「頻繁」「慢性的」などの判定方法
も研究ごとに異なります。
数字を見るときは、
何%だったか
だけでなく、
誰を、どのような基準で調べた数字なのか
も確認する必要があります。
「大学生の80〜95%」と「成人の20%」は矛盾しない
数字だけを見ると、
大学生80〜95%
と、
成人20%
では差が大きく見えます。
しかし、この二つをそのまま比較することはできません。
大学生について引用される高い割合には、
何らかの形で学業を先延ばしした経験
を含む研究があります。
成人の約20%という数字は、
慢性的な先延ばし
について調べたものです。
調べているものが違うため、
大学生のほとんどが慢性的な先延ばしをしている
という意味ではありません。
統計を読むときには、この違いに注意しましょう。
日本人の割合としてそのまま使える数字ではない
今回紹介した代表的な研究は、海外で行われたものが中心です。
そのため、
日本人の○%が先延ばしする
という数字としてそのまま使うことはできません。
また、先延ばしに関する研究では大学生を対象にしたものが多く、一般成人について同じ条件で比較できるデータは限られます。
「日本では何人に一人」と断定するより、
海外の研究では成人の慢性的な先延ばしが約15〜20%程度報告された例がある
くらいに捉えるのが適切です。
割合が高くても放置していいわけではない
先延ばしする人が珍しくないと分かると、
みんな先延ばししているなら問題ない
と思うかもしれません。
しかし、重要なのは他の人が何%先延ばししているかではありません。
自分の場合、
- 締め切りに間に合わない
- 仕事や勉強が進まない
- 予定が後ろへずれている
- 先延ばししたあとに後悔する
といった問題が起きているかを確認する必要があります。
多くの人が経験する行動でも、自分が困っているなら対策を考える意味があります。
Pomolikaで先延ばししている作業に着手する
Pomolikaはブラウザで使えるポモドーロタイマーです。
先延ばしする人の割合を知って、
自分だけではない
と分かったとしても、残っている作業は進める必要があります。
先延ばししている作業があるなら、最初から全部終わらせようとせず、まず作業時間を区切って着手する方法があります。
例えば、
今からすることを一つ決める
↓
Pomolikaで作業時間を設定する
↓
その時間だけ作業する
という流れです。
一般的なポモドーロでは25分集中・5分休憩という時間設定が知られていますが、自分が始めやすい時間に変更しても構いません。
統計と自分を比べるだけで終わらず、先延ばししていることが一つあれば、まずそこから始めてみましょう。
まとめ
先延ばしする人の割合は、研究によって大きく異なります。
成人を対象にした研究では、
慢性的な先延ばしをする人が約15〜20%程度
と報告された例があります。
一方、大学生では、何らかの先延ばしをする人が80〜95%という推定値や、52%が頻繁に先延ばしすると回答した研究があります。
数字に差があるのは、
先延ばしの定義や調査対象が違う
ことが大きな理由です。
そのため、「先延ばしする人は○%」という一つの数字だけを見るのではなく、誰をどのような基準で調査した数字なのかも確認しましょう。
そして、先延ばしする人が多いか少ないかにかかわらず、自分の仕事や勉強に影響が出ているなら、まず一つの作業に着手するところから始めてみましょう。
参考文献
- Harriott, J., & Ferrari, J. R. (1996). Prevalence of Procrastination among Samples of Adults. Psychological Reports, 78(2), 611–616.
- Ferrari, J. R., Díaz-Morales, J. F., O'Callaghan, J., Díaz, K., & Argumedo, D. (2007). Frequent Behavioral Delay Tendencies By Adults: International Prevalence Rates of Chronic Procrastination. Journal of Cross-Cultural Psychology, 38(4), 458–464.
- Steel, P. (2007). The Nature of Procrastination: A Meta-Analytic and Theoretical Review of Quintessential Self-Regulatory Failure. Psychological Bulletin, 133(1), 65–94.
- Day, V., Mensink, D., & O'Sullivan, M. (2000). Patterns of Academic Procrastination. Journal of College Reading and Learning, 30(2), 120–134.
- Özer, B. U., Demir, A., & Ferrari, J. R. (2009). Exploring Academic Procrastination Among Turkish Students: Possible Gender Differences in Prevalence and Reasons. The Journal of Social Psychology, 149(2), 241–257.