「卒論をやらなければいけないのに、なかなか始められない」
「締め切りが近づいているのに、論文を書く気になれない」
卒論は、先延ばしが起こりやすい課題の一つです。
普段のレポートと比べても、
- 完成までの期間が長い
- 自分で考えることが多い
- 正解が分かりにくい
- 調査や文献探しが必要
- 書く量が多い
- 指導教員から評価される
など、始めにくくなる条件がいくつもあります。
そのため、
「卒論をやる」
という大きなタスクのまま考えていると、何から手をつければいいか分からなくなることがあります。
卒論を一気に書こうとする必要はありません。
まずは、
今日できる一つの作業
まで小さくしてみましょう。
この記事では、卒論を先延ばししてしまう理由と、論文を少しずつ進める方法を紹介します。
卒論を先延ばししてしまうのはなぜ?
卒論を先延ばしする理由は一つではありません。
例えば、
何から始めればいいか分からない。
テーマがこれでいいのか自信がない。
文献をどこまで調べればいいか分からない。
文章を書くのが難しい。
指導教員に見せるのが怖い。
まだ締め切りまで時間がある。
卒論より楽しいことを優先してしまう。
などがあります。
単純に、
やる気がないから
だけで考えると、自分に合った対策を見つけにくくなります。
まず、
卒論のどこで止まっているのか
を確認してみましょう。
「卒論を書く」では大きすぎる
卒論を今日の予定に入れるとき、
卒論をやる
と書いていないでしょうか。
これはタスクとしてかなり大きなものです。
卒論には、
テーマを決める。
研究の問いを考える。
先行研究を探す。
文献を読む。
研究方法を決める。
調査する。
データを整理する。
分析する。
構成を考える。
本文を書く。
引用を確認する。
参考文献を整理する。
推敲する。
といった複数の作業があります。
これらを全部まとめて、
「卒論」
と考えると重く感じるのも不思議ではありません。
まず、
今どの作業をするのか
まで分けます。
卒論を小さな作業に分ける
例えば、
先行研究を調べる
ところで止まっているとします。
それでもまだ大きいなら、
- 検索するキーワードを3つ考える
- 論文を検索する
- 気になる論文を5本保存する
- 1本目の要旨を読む
- 必要な部分をメモする
と分けられます。
本文を書く段階なら、
- 章の見出しを作る
- 各見出しに書くことを箇条書きにする
- 一つ目の見出しだけ文章にする
- 引用する文献を確認する
- 次の見出しを書く
という形です。
ポイントは、
卒論全体をどう終わらせるかではなく、次に何をするか
まで具体的にすることです。
「論文を書く」ではなく「次の一つ」を決める
卒論が進まないときは、
今からできる最小の行動は何か
を考えてみましょう。
例えば、
| 止まっているところ | 次の一つ |
|---|---|
| テーマが決まらない | 候補を3つ書く |
| 研究の問いが曖昧 | 疑問を文章で1つ書く |
| 文献が足りない | 論文を1本検索する |
| 文献を読めない | 要旨だけ読む |
| 構成が決まらない | 見出しだけ並べる |
| 本文を書けない | 箇条書きを3つ書く |
| 文章がまとまらない | まず下書きを100文字書く |
| 指導教員に見せられない | 質問したいことを1つ書く |
「これならできる」と思えるところまで小さくします。
卒論を完成させる必要はありません。
卒論を1ミリ進める作業
を決めます。
正解が分からないから始められない
卒論には、学校の試験とは違う難しさがあります。
問題を解けば答えが出るとは限りません。
テーマはこれでいいのか。
研究方法はこれでいいのか。
この文献を使っていいのか。
この考察でいいのか。
分からないことが出てきます。
すると、
正しい方法が分かってから進めよう
と思うことがあります。
しかし、卒論では、
調べる。
書いてみる。
指導を受ける。
修正する。
という往復が必要になることもあります。
最初から完成版を作ろうとせず、
確認してもらうための途中版を作る
と考えると、進めやすくなります。
完璧な文章を書こうとしない
卒論を書くとき、
大学に提出する論文なのだから、ちゃんとした文章を書かなければ
と思うかもしれません。
すると、一文目から悩みます。
書く。
消す。
また書く。
調べる。
結局ほとんど進まない。
という状態になることがあります。
最初から提出できる文章を書く必要はありません。
まずは、
下書き
として書きます。
例えば、
この節では○○について書く。
Aの研究では○○。
Bの研究では○○。
ここから△△が考えられる。
くらいでも構いません。
そこから文章として整えます。
考える作業と、文章をきれいにする作業を分ける
と進めやすくなります。
完璧主義と先延ばしについては、完璧主義だと先延ばししやすい?原因と対策を考えるも参考にしてください。
文献を探し続けて本文を書けない
卒論では、
調べること自体が先延ばしになる
こともあります。
もっと良い論文があるかもしれない。
もう少し調べてから書こう。
知識が足りない気がする。
そう考えて、文献を探し続けます。
もちろん、必要な先行研究を調べることは重要です。
しかし、
読むことと書くことを完全に分ける
必要はありません。
今ある文献で一度書いてみる。
↓
足りない情報に気づく。
↓
必要な文献を追加で探す。
という進め方もできます。
調査そのものが目的になっていないか、ときどき確認してみましょう。
指導教員に見せるのが怖くて先延ばしする
卒論では、
先生に見せる
という段階で止まることもあります。
「全然できていないと思われそう」
「間違いを指摘されたくない」
「もっと完成させてから持っていきたい」
と感じる場合です。
しかし、
完成させてから指導を受ける
のでは遅いこともあります。
方向性が違っていた場合、あとから大きく修正することになるからです。
分からないところがあるなら、
完成品を見せる
ではなく、
方向性を確認する
と考えてみましょう。
例えば、
「テーマはこの方向で問題ないか」
「この研究方法で進めてよいか」
「この章構成で不足しているものはあるか」
など、確認したいことを具体的にします。
何を聞きたいか決めるだけでも、相談へのハードルを下げられます。
大学生と先延ばしは実際に研究されている
大学生の先延ばしは、心理学でも研究されてきたテーマです。
特に、
academic procrastination(学業上の先延ばし)
として、
課題。
試験勉強。
レポート。
論文。
などを後回しにする行動が研究されています。
先延ばし研究者Piers Steelによる2007年のメタ分析では、先延ばしについて多数の研究が統合され、
- 作業への嫌悪感
- 自己効力感
- 衝動性
- 自己コントロール
- 結果が得られるまでの時間
などとの関係が整理されています。
卒論についても、
自分は怠けているから書けない
だけで考える必要はありません。
作業の難しさ。
不安。
締め切りまでの時間。
誘惑。
作業の曖昧さ。
など、今の状況を具体的に見てみましょう。
先延ばしについての研究は、先延ばしの研究・論文まとめでも紹介しています。
締め切りが遠い卒論は先延ばししやすい
卒論は、数日で終わる課題ではありません。
提出まで数か月あることもあります。
すると、
今日はやらなくても大丈夫
と感じやすくなります。
今日やらない。
来週からやる。
来月から本気を出す。
気づけば締め切りが近づいている。
ということがあります。
先延ばし研究では、
結果や締め切りまでの時間
も重要な要素として扱われています。
遠い提出日だけではなく、
自分用の近い締め切り
を作ってみましょう。
例えば、
今週:文献を5本確認する。
来週:章構成を作る。
○日まで:第1章の下書きを作る。
という形です。
さらに、
今日の行動
まで決めます。
「今週中に文献を調べる」
だけではなく、
今日は1本読む
まで小さくします。
「卒論を何時間やる」より作業を決める
「今日は卒論を3時間やる」
と決めることもできます。
しかし、何をするか決まっていなければ、
パソコンを開く。
文献を検索する。
関係ありそうなページを見る。
別のことを調べる。
気づけば時間だけ過ぎる。
ということもあります。
そこで、
時間 + 作業内容
をセットにします。
例えば、
25分で論文を1本読む。
25分で第2章の見出しを作る。
25分で300文字の下書きを作る。
とします。
「卒論をやる」ではなく、
次の25分で何を進めるか
を決めます。
まず10分だけ卒論を開く
卒論を長時間やることを考えると、始める前から重く感じる場合があります。
その場合は、
10分だけ
から始めても構いません。
例えば、
10分で文献を1本探す。
10分で要旨を読む。
10分で見出しを書く。
10分で昨日書いた文章を読む。
10分で100文字書く。
とします。
重要なのは、
10分で卒論を終わらせることではありません。
卒論を進める状態に入ることです。
始めてみて続けられそうなら、そのまま続けます。
難しければ、一度区切ります。
スマホや動画を見る前に10分だけ進める
卒論は成果が出るまで時間がかかります。
一方、
SNS。
動画。
ゲーム。
スマホ。
などは、すぐに楽しめます。
「卒論をやらなければ」と思いながらスマホを触り、そのまま時間が過ぎることもあります。
完全にスマホを禁止する必要はありません。
例えば、
動画を見る前に10分だけ卒論を進める
という順番にします。
あるいは作業中だけ、
スマホを机から離す。
通知を減らす。
卒論に必要な画面だけ開く。
という方法もあります。
先延ばししてしまった日を取り戻そうとしない
卒論を数日やらなかったとします。
すると、
「昨日2時間やる予定だった」
「3日も無駄にした」
「今日はその分5時間やらないと」
と考えることがあります。
その結果、
今日の卒論がさらに重くなる
ことがあります。
過去の作業時間を一気に取り戻そうとせず、
今日できる量
から再開しましょう。
昨日できなかった2時間ではなく、
今から10分で何をするか
を考えます。
卒論は一度止まったら終わりではありません。
何度でも再開できます。
卒論が進まないときの確認リスト
卒論を先延ばししていると気づいたら、次の順番で確認してみましょう。
- 今どの段階で止まっている?
- 何が分からない?
- 不安に感じていることはある?
- タスクが大きすぎない?
- 次にする一つは決まっている?
- 10分でできるところまで小さくできる?
- 指導教員に確認したほうが早いことはない?
例えば、
本文を書けない
↓
なぜ?
↓
構成が決まっていない。
↓
では、
10分で見出しを作る。
という形です。
問題を、
今できる行動
まで小さくしていきます。
卒論を進めるための1日の例
例えば、今日は卒論に1時間使えるとします。
最初から、
1時間集中する
必要はありません。
例えば、
25分 → 文献を1本読む
5分休憩
25分 → 読んだ内容を卒論用にメモする
という形にできます。
まだ卒論に取りかかる習慣がないなら、
10分だけ見出しを考える
でも構いません。
重要なのは、
毎回卒論全体と戦わないこと
です。
その日に進める一部分だけを決めます。
Pomolikaで卒論を小さく区切る
Pomolikaはブラウザで使えるポモドーロタイマーです。
卒論を先延ばししているなら、
卒論を書く
というタスクのままタイマーを始めるのではなく、最初に作業を一つ決めてみましょう。
例えば、
今日進める部分を一つ決める
↓
「論文を1本読む」まで小さくする
↓
Pomolikaを25分に設定する
↓
その作業だけ進める
という流れです。
始めること自体が重いなら、10分でも構いません。
10分で文献を1本探す。
10分で見出しを3つ書く。
10分で100文字だけ下書きする。
Pomolikaを使えば卒論が自動的に完成するわけではありません。
できるのは、
「卒論を完成させなければ」から「今はこの作業だけやる」へ切り替えること
です。
まとめ
卒論は、
- 完成までの期間が長い
- 作業量が多い
- 正解が分かりにくい
- 自分で決めることが多い
- 評価される
- 締め切りが遠い
など、先延ばしにつながりやすい要素があります。
そのため、
卒論をやる
という大きなタスクのまま考えないことが大切です。
例えば、
文献を1本探す。
要旨を読む。
見出しを3つ作る。
100文字だけ下書きする。
というところまで小さくします。
そして、
何時間卒論をやるか
だけではなく、
その時間で何をするか
まで決めてみましょう。
卒論全体を見ると、まだ大量に残っているように感じるかもしれません。
でも、卒論を書くときに実際にできるのは、
今目の前にある一つの作業
だけです。
全部を一気に終わらせようとせず、次の一つから進めてみましょう。