「やるべきことがあるのに、気づいたら別のことをしていた」。
先延ばしをするときは、
「あとでやろう」
「まだ時間がある」
「今はやる気が出ない」
と考えて、本来やる予定だったことから離れてしまうことがあります。
そこで先延ばしとの関係が研究されているのが、
マインドフルネス
です。
マインドフルネスは、今この瞬間の経験に注意を向ける考え方です。
先延ばしとの関係を調べた研究もあり、マインドフルネスの傾向が高いほど、先延ばしの傾向が低いという関連が報告されています。
ただし、
マインドフルネスをすれば先延ばしがなくなる
と単純に考えることはできません。
この記事では、先延ばしとマインドフルネスについて研究で分かっていることと、日常で取り入れる場合の考え方を紹介します。
マインドフルネスとは?
マインドフルネスにはさまざまな説明がありますが、簡単にいえば、
今この瞬間に起きていることへ注意を向ける
という考え方です。
例えば、仕事をしていたのにスマホを手に取り、
SNSを開く。
そのまま別の投稿を見る。
気づけば20分経っている。
そんなときに、
今、自分はSNSを見ている
と気づきます。
そこで自分を責めるのではなく、
今やろうとしていたことは何だったか
へ注意を戻します。
先延ばし対策として考える場合は、この「気づいて戻る」という部分が使いやすいでしょう。
マインドフルネスと先延ばしには関連が報告されている
マインドフルネスと先延ばしの関係は、複数の研究で調べられています。
2025年に掲載されたメタ分析では、19研究から得られた36の効果量、合計14,094人分のデータが分析されました。
その結果、
特性マインドフルネスが高いほど、先延ばし傾向が低い
という負の関連が報告されています。
相関係数は、
r = -0.365
でした。
ただし、この結果だけから、
マインドフルネスが先延ばしを減らした
という因果関係まで断定することはできません。
マインドフルネスと先延ばしの間には一定の関連が確認されている、と捉えるのが適切です。
マインドフルネスを使った介入研究もある
関連を調べるだけでなく、マインドフルネスのトレーニングによって先延ばしが変化するかを調べた研究もあります。
2023年に発表された研究では、先延ばし傾向のある学生36人を対象に、マインドフルネスのトレーニングを行うグループと待機グループを比較しました。
トレーニングは、
週1回90分を8週間
行うものでした。
研究では、マインドフルネスのトレーニングを受けたグループで、自己調整やマインドフルネスの指標が高まり、先延ばし行動などが減少したと報告されています。
一方で、対象者は36人と小規模です。
この一つの研究だけで、
マインドフルネスは先延ばしに必ず効果がある
とは言えません。
先延ばしへの対策として研究されている方法の一つ、と考えておきましょう。
先延ばしに「気づく」
先延ばししているとき、自分ではそれを明確に意識していないことがあります。
例えば、
資料を作ろう
↓
その前にメールだけ確認しよう
↓
ニュースも少し見よう
↓
気づいたら30分経っていた
という状態です。
ここで重要なのは、
先延ばししていることに気づく
ことです。
気づかなければ、そのまま別の行動を続けてしまいます。
気づいた時点で、
「今、本来やろうとしていたことは何だった?」
と確認してみましょう。
気づいたあとに自分を責めない
30分先延ばししたことに気づいたとき、
また時間を無駄にした
と考えることがあります。
しかし、そこでさらに10分反省しても、作業開始は10分遅くなります。
先延ばししていたことは事実として確認しつつ、
では、今から何をするか
へ意識を移します。
例えば、
「資料を作る予定だった」
↓
「まず見出しを3つ書こう」
という形です。
過ぎた30分ではなく、今からできる行動を確認します。
「あとでやろう」と考えていることに気づく
先延ばしは、別の行動をしているときだけ起こるわけではありません。
作業を見ながら、
あとでやろう
と思った瞬間にも起こります。
そんなときは、一度、
なぜ今やらないのか
を確認してみましょう。
別の仕事を優先する必要があるなら、予定を変更して構いません。
一方、
なんとなく面倒だから
という理由なら、作業全体ではなく最初の一つだけ始める方法があります。
「あとでやろう」という考えをなくす必要はありません。
そう考えていることに気づき、そのまま従うかどうかを一度確認します。
1分だけ「今」に注意を戻す
マインドフルネスというと、
長時間の瞑想をしなければならない
と思うかもしれません。
しかし、先延ばし対策として試すなら、まず短い時間で現在の状態を確認する方法があります。
例えば、作業前に1分だけ、
- 今、何をしているか
- 本来、何をする予定だったか
- 次に何をするか
を確認します。
例えば、
今していること → スマホを見ている
する予定だったこと → 資料作成
次にすること → 資料を開いて見出しを書く
という形です。
確認したら、そのまま最初の行動へ移ります。
呼吸に注意を向けてから作業へ戻る方法もある
マインドフルネスでは、呼吸に注意を向ける方法もよく使われます。
作業から気持ちが離れているときに、短い時間だけ呼吸へ注意を向けます。
別の考えが浮かんでも、
考えてはいけない
と追い払う必要はありません。
考えが浮かんだことに気づいたら、再び呼吸へ注意を戻します。
そのあと、
今からすることを一つ決めて作業を始める
ところまで行います。
呼吸に注意を向けること自体を目的にせず、先延ばし対策として使うなら作業へ戻るところまでを一つの流れにしてみましょう。
「集中が切れたら失敗」ではない
マインドフルネスと作業を組み合わせるとき、
ずっと集中し続けなければならない
と考える必要はありません。
作業中に、
「スマホを見たい」
「別のことを調べたい」
「もうやめたい」
と思うことはあります。
重要なのは、そうした考えが一度も浮かばないことではありません。
気づいたときに、
今やっている作業へ注意を戻す
ことができます。
一度気が散ったからといって、その作業時間すべてを失敗にする必要はありません。
マインドフルネスだけで先延ばしを解決しようとしない
先延ばしには、さまざまな理由があります。
例えば、
何をすればいいか分からない → 作業を具体的にする
作業が大きすぎる → 小さく分ける
スマホを触ってしまう → 作業時間だけ離す
長時間作業するのが嫌 → 短い時間に区切る
といった対策もあります。
マインドフルネスを意識しても、タスクそのものが曖昧なら始めにくい状態は残ります。
そのため、
先延ばしに気づいて戻るための方法の一つ
として使うのがよいでしょう。
Pomolikaで「気づいて戻る」区切りを作る
Pomolikaはブラウザで使えるポモドーロタイマーです。
先延ばししていることに気づいたら、
今やっていることを確認する
↓
本来する予定だったことを確認する
↓
次にすることを一つ決める
↓
Pomolikaで作業時間を設定する
↓
その作業へ注意を戻す
という使い方ができます。
作業中に気が散ることがあっても構いません。
気づいたら、そのタイマーで決めた作業へ戻ります。
25分が長ければ、自分が始めやすい短い時間に設定しても構いません。
マインドフルネスを完璧に実践することではなく、
今やることへ戻る
ための区切りとしてタイマーを使ってみましょう。
自分を責めすぎずに立て直す方法は、先延ばしとセルフコンパッションの関係でも紹介しています。
まとめ
マインドフルネスと先延ばしの関係を調べた研究では、
マインドフルネスの傾向が高いほど、先延ばし傾向が低い
という関連が報告されています。
また、小規模ながら、マインドフルネスのトレーニングによって学生の先延ばし行動が減少した介入研究もあります。
ただし、マインドフルネスをすれば先延ばしが必ずなくなると考えることはできません。
日常で取り入れるなら、
- 先延ばししていることに気づく
- 今していることを確認する
- 本来する予定だったことを確認する
- 次の行動を一つ決める
- 気が散っても、気づいたら作業へ戻る
という使い方ができます。
先延ばししていた時間を考え続けるのではなく、
今、この時点から何をするか
へ注意を戻してみましょう。
参考文献
- Mao, Y., Zhang, J., Liu, Y., & Wang, Y. (2025). Mindfulness matters: Unveiling the relationship between trait mindfulness and procrastination - A three level meta-analysis. The Journal of General Psychology, 152(3), 475–496.
- Schutte, N. S., & del Pozo de Bolger, A. (2023). Mindfulness intervention for academic procrastination: A randomized control trial. Learning and Individual Differences, 101, 102244.