「先延ばしについて話しているTEDを見たい」
「TEDの先延ばしの動画はどんな内容?」
先延ばしをテーマにしたTED Talkとして有名なのが、Tim Urban(ティム・アーバン)の、
Inside the mind of a master procrastinator
です。
日本語にすると、
「先延ばし魔の頭の中はどうなっているか」
といった意味のタイトルです。
2016年に公開された約14分の講演で、TED公式でも非常に多く再生されています。
講演では、先延ばしする人の頭の中を、
理性的意思決定者
すぐにご褒美が欲しいサル
パニックモンスター
というユニークな登場人物で表現しています。
難しい理論を並べるのではなく、
「やらないといけないのにYouTubeを見てしまう」
といった身近な先延ばしを、イラストとユーモアを使って説明しているのが特徴です。
この記事では、Tim UrbanのTED Talk「Inside the mind of a master procrastinator」の内容を、日本語で分かりやすく紹介します。
先延ばしについての有名なTED Talk
今回紹介する講演はこちらです。
講演者:Tim Urban
タイトル:Inside the mind of a master procrastinator
TED2016
公開:2016年
長さ:約14分
Tim Urbanは、ブログ「Wait But Why」で知られるライター・イラストレーターです。
このTED Talkでは、自身も締め切り直前まで作業を先延ばししてしまう経験を持つUrbanが、
先延ばしする人の頭の中では何が起きているのか
を独自のキャラクターを使って説明します。
TED公式で「Inside the mind of a master procrastinator」を見る
先延ばしの「サル」とは?
「先延ばしのサル」とは、この講演に登場する Instant Gratification Monkey(すぐに満足したがるサル) のことです。
Urbanが先延ばしする人の頭の中を説明するために使った比喩であり、心理学や医学上の正式な名称ではありません。
このサルだけでなく、Urbanが登場させる3つのキャラクターの関係を知ると、講演の内容を理解しやすくなります。
理性的意思決定者
まず登場するのが、
Rational Decision-Maker
です。
日本語なら、
理性的意思決定者
と考えると分かりやすいでしょう。
やるべきことを考えて、将来のために行動しようとします。
例えば、
「締め切りが来週だから、今日から少しずつ進めよう」
と考える役割です。
これだけなら、計画どおり作業できそうです。
しかし、先延ばしする人の頭の中には、別のキャラクターが登場します。
すぐにご褒美が欲しいサル
それが、
Instant Gratification Monkey
です。
直訳すると、
即時的な満足を求めるサル
といった意味になります。
このサルが興味を持つのは、
今、簡単で楽しいこと
です。
資料を作らなければならない。
でも、YouTubeを見たい。
勉強しなければならない。
でも、スマホを見たい。
メールを書かなければならない。
でも、関係のないことを調べたくなる。
理性的には、
今やったほうがいい
と分かっています。
それでも、
今すぐ楽しいこと
へ向かってしまう。
Urbanは、この状態をサルが理性的意思決定者からハンドルを奪ってしまう様子として表現しています。
「Dark Playground」に入ってしまう
サルについて説明するときに登場するもう一つの表現が、
Dark Playground
です。
やるべきことをやっていない状態で楽しんでいる時間を表しています。
例えば、
明日までに資料を作らなければならない。
それなのに動画を見る。
本来なら楽しいはずです。
しかし頭の中には、
資料を作らないと
という考えが残っています。
そのため、完全には楽しめません。
休んでいるようで休めない。
遊んでいるようで楽しめない。
やるべきことも進んでいない。
先延ばしをしたことがある人なら、思い当たることがあるかもしれません。
締め切りが近づくとパニックモンスターが現れる
では、なぜ締め切り直前になると急に作業できるのでしょうか。
ここでUrbanが登場させるのが、
Panic Monster
です。
パニックモンスター
と呼ばれる存在です。
締め切りが迫る。
失敗するかもしれない。
恥をかくかもしれない。
そんな状況になると、パニックモンスターが目を覚まします。
すると、すぐに楽しいことをしたいサルが逃げていきます。
そしてようやく、
理性的意思決定者が作業を進められる
というわけです。
つまり、理性的意思決定者が将来を考えて作業しようとし、サルが今すぐ楽しめることへハンドルを切り、締め切りが迫るとパニックモンスターがサルを追い払う、という関係です。
「一週間前には全然できなかったのに、締め切り前日は何時間も集中できた」
という経験を、このキャラクターで表現しています。
締め切りがある先延ばしは最後に動ける
仕事や学校の課題には、締め切りがあることが多いでしょう。
例えば、
金曜日までに資料を提出する
来週までにレポートを書く
と決まっています。
先延ばししていても、締め切りが近づけばパニックモンスターが現れる。
そして最後には作業する。
もちろん大変ですが、何とか終わることがあります。
Urbanはここから、さらに重要な先延ばしの話へ進みます。
本当に怖いのは締め切りがない先延ばし
講演の後半で扱われるのが、
締め切りのない先延ばし
です。
例えば、
いつか運動したい。
いつか新しいことを始めたい。
いつか自分のプロジェクトを始めたい。
いつか人間関係を改善したい。
こうしたことには、明確な締め切りがない場合があります。
締め切りがなければ、
パニックモンスターが起きません。
その結果、
「そのうちやろう」
と思ったまま、長い時間が過ぎてしまうことがあります。
Urbanがこの講演で特に問題としているのは、こちらの先延ばしです。
「いつかやる」は長期間続くことがある
締め切りのある仕事なら、
「金曜日まで」
という終わりがあります。
しかし、
いつかやりたいこと
には終わりがありません。
今日やらなくても困らない。
明日やらなくても困らない。
来週やらなくても、大きな問題は起きない。
そのため、
始めるきっかけそのものが来ない
ことがあります。
先延ばしについて考えるときは、
「今日の仕事を後回しにしていないか」
だけでなく、
締め切りがないから何年も後回しにしていることはないか
も考えてみる必要があります。
Life Calendarが伝えていること
講演の最後にUrbanが見せるのが、
Life Calendar
です。
90年間の人生を、1週間ずつ四角で表したカレンダーです。
大量の四角が並んでいますが、人生全体として見ると、
使える週の数には限りがある
ことが視覚的に分かります。
ここでUrbanは、
自分たちが本当に先延ばししているものについて考えてほしい
と投げかけます。
単に、
「明日の資料を今日やろう」
という話だけではありません。
締め切りのない大切なことを、ずっと先延ばししていないか。
そこまで話が広がるのが、このTED Talkの面白いところです。
このTEDは「先延ばしを治す方法」の講演ではない
注意したいのは、この講演が、
先延ばしを改善する具体的な方法を順番に教える講演
ではないことです。
「これをすれば先延ばしが治る」という方法が中心ではありません。
むしろ、
先延ばしするときの頭の中を分かりやすく表現する
ことに重点があります。
だからこそ、
「なぜ自分はこんな行動をするんだろう」
と思っている人には、先延ばしを別の角度から見るきっかけになります。
具体的な対策を探している場合は、先延ばし癖の治し方も参考にしてください。
TEDのサルを自分の先延ばしに当てはめてみる
このTEDを見たあと、自分の行動に当てはめてみると分かりやすくなります。
例えば、
資料を作る予定だった
↓
スマホを見る
↓
動画を見る
↓
気づけば1時間経っている
↓
締め切りが近づいて慌てて資料を作る
という経験があるなら、Urbanの説明する構図と重なります。
ここで、
自分には意志がない
と考えるだけではなく、
自分のサルは何に反応するのか
と考えてみてもいいでしょう。
スマホなのか。
YouTubeなのか。
SNSなのか。
別の簡単な仕事なのか。
自分が先延ばしするときに向かいやすいものを確認します。
パニックモンスターが来る前に始めるには?
この講演を実際の行動につなげるなら、
締め切り直前まで待たずに、どうやって始めるか
を考えることになります。
例えば、
「資料を完成させる」
ではなく、
10分だけ構成を考える
と決めます。
勉強なら、
「試験勉強をする」
ではなく、
問題を5問だけ解く
とします。
大きな作業を前にしてサルが別のことへ向かうなら、
始めるための負担そのものを小さくする
という方法です。
締め切りがないことには自分で区切りを作る
UrbanのTEDで特に考えたいのが、締め切りのない先延ばしです。
締め切りがなければ、
あとでやる
を何度でも繰り返せます。
そこで、
「いつかやる」
ではなく、
今日10分だけやる
という小さな区切りを作ります。
例えば、
いつかブログを書く → 今日10分だけテーマを考える
いつか勉強する → 今日10分だけ教材を開く
いつか個人プロジェクトを始める → 今日10分だけ最初の作業をする
といった形です。
大きな締め切りを作らなくても、
今やる時間
だけ決めることはできます。
先延ばしについて学べる動画
先延ばしについて動画で学びたい場合は、この記事で紹介しているTim UrbanのTED Talkが入口の一つになります。
講演では、
- やるべきことより今すぐ楽しいことを選ぶ様子
- 締め切り直前になると急に動ける理由
- 締め切りのない先延ばしが長く続く問題
を、サル、理性的意思決定者、パニックモンスターのイラストを使って説明しています。文章だけでなく、登場人物の動きや講演者の語りと一緒に理解できる点が動画の特徴です。
ただし、このTEDは先延ばしの診断や治療を行う動画ではなく、具体的な改善手順を網羅した教材でもありません。
動画を見たあとは、
自分は何を先延ばししているか
その代わりに何をしているか
今から始められる最小の行動は何か
を一つずつ考えると、内容を自分の行動へつなげやすくなります。
日本語で見ることはできる?
TED公式の講演ページでは、トランスクリプトを読むことができます。
字幕など利用できる言語はTED側の提供状況によって変わる可能性があるため、実際の講演ページで確認してください。
英語をすべて聞き取れなくても、
Instant Gratification Monkey
Panic Monster
Dark Playground
といった中心となる言葉を知ってから見ると、内容を追いやすくなります。
Pomolikaでパニックモンスターが来る前に始める
Pomolikaはブラウザで使えるポモドーロタイマーです。
Tim UrbanのTEDを見て、
締め切り直前にならないと動けない
と思ったら、パニックになる前に短い時間だけ作業する方法を試せます。
例えば、
先延ばししていることを一つ選ぶ
↓
最初にすることを一つ決める
↓
Pomolikaを10分に設定する
↓
10分だけ始める
という流れです。
最初から、
全部終わらせる
必要はありません。
締め切り直前の強いプレッシャーを待つのではなく、
今できる小さな区切りを作る
ためにタイマーを使います。
まとめ
先延ばしについての有名なTED Talkの一つが、Tim Urbanの、
Inside the mind of a master procrastinator
です。
講演では、先延ばしする頭の中を、
- 理性的意思決定者
- すぐにご褒美が欲しいサル
- パニックモンスター
というキャラクターを使って表現しています。
締め切りが近づけば、パニックモンスターによって作業を始めることがあります。
しかし、Urbanが最後に注目するのは、
締め切りがない先延ばし
です。
「いつかやろう」と考えていることには、締め切りが来ないかもしれません。
このTEDを見たら、
自分は今、何を先延ばししているだろう?
と一つ考えてみましょう。
そして何か思い当たるものがあれば、全部終わらせようとするのではなく、
今日10分だけ始める
ところから試してみることができます。