先延ばし先延ばし癖習慣原因

先延ばし癖とは?なぜ「あとでやる」を繰り返してしまうのか

先延ばし癖とは、やる必要があることを後回しにする行動を繰り返してしまう状態です。先延ばしグセがつく理由や、単なる怠けとの違い、繰り返してしまう仕組み、改善するための考え方を紹介します。

「やらなければいけないことを、いつも後回しにしてしまう」

「一度だけではなく、何度も同じように先延ばししている」

そんな状態を、

先延ばし癖

先延ばしグセ

と表現することがあります。

仕事。

勉強。

家事。

返信。

手続き。

やる必要があると分かっているのに、

「あとでやろう」

と後回しにしてしまう。

そして期限が近づいてから慌てて取り組み、

「次は早めにやろう」

と思ったのに、また同じことを繰り返す。

こうした経験があると、

「自分には先延ばし癖がついているのでは?」

と思うかもしれません。

ただし、「先延ばし癖」は病名ではありません。

また、何かを後回しにしただけで問題があるわけでもありません。

この記事では、先延ばし癖とは何なのか、なぜ繰り返してしまうのかを整理しながら、改善するための考え方を紹介します。

先延ばし癖とは?

先延ばしとは一般的に、

やる必要があることを、後の時間へ延ばすこと

を指します。

例えば、

今日やろうと思っていた仕事を明日に回す。

試験勉強を直前まで始めない。

メールを読んでも返信しない。

掃除を次の休日まで延ばす。

といった行動です。

その中でも、

同じような先延ばしを何度も繰り返している状態

を日常的に「先延ばし癖」「先延ばしグセ」と表現することがあります。

ただし、

一度でも後回しにしたら先延ばし癖

というわけではありません。

予定を変更したほうが合理的な場合もあります。

重要なのは、

自分ではやったほうがいいと思っているのに、繰り返し後回しにして困っているか

です。

先延ばし癖は「怠け」とは限らない

先延ばしを繰り返していると、

自分が怠けているから

と思うことがあります。

しかし、先延ばしの背景にはさまざまな要因があります。

例えば、

  • 作業が面倒
  • 何から始めればいいか分からない
  • 難しくて自信がない
  • 失敗するのが怖い
  • 完璧にやろうとしている
  • 締め切りまで時間がある
  • ほかに魅力的なことがある
  • 疲れている

などです。

例えば、

資料を作らなければいけないのに始められない

という場合でも、

「面倒だから」

という人もいれば、

「ちゃんと作らなければと思いすぎている」

という人もいます。

表面上は同じ先延ばしでも、理由は同じとは限りません。

そのため、

先延ばし癖=意志が弱い

だけで考えないことが大切です。

なぜ先延ばし癖になってしまう?

先延ばしを繰り返す理由の一つとして、

後回しにすると、その瞬間は楽になる

ことが考えられます。

例えば、難しい仕事を始めようとして、

「面倒だな」

「失敗したくないな」

「何から始めればいいんだろう」

と感じているとします。

そこで、

明日やろう

と決めます。

すると、その瞬間は仕事を始めなくてよくなります。

不安や面倒さから一時的に離れられるわけです。

しかし、仕事そのものがなくなったわけではありません。

翌日になれば、また同じ仕事があります。

そこで再び、

あとでやろう

とすると、同じ流れが繰り返されます。

「あとでやる」で一時的に楽になる

先延ばしの流れを簡単にすると、

やるべきことがある

面倒・不安・難しいと感じる

あとでやることにする

今はやらなくてよくなる

一時的に気持ちが楽になる

という形になります。

ところが時間が経つと、

やるべきことが残っている

期限が近づく

さらに気が重くなる

という状態になることがあります。

先延ばしは、

問題を解決したから楽になった

のではなく、

問題から一時的に離れたから楽になった

だけの場合があります。

この違いを知っておくと、自分が「あとで」と考えた瞬間に気づきやすくなります。

先延ばし癖は場面によって出たり出なかったりする

「自分は先延ばしする人間だ」

と思っていても、すべてのことを先延ばししているとは限りません。

例えば、

好きなことならすぐできる。

簡単な仕事ならすぐ終わらせられる。

締め切りが近ければ動ける。

人との約束なら守れる。

でも、

難しい仕事。

大きな課題。

正解が分からない作業。

失敗したくないこと。

だけは後回しにする。

ということもあります。

この場合、

自分には先延ばし癖がある

だけで終わらせず、

どんな状況で先延ばししやすいのか

を確認すると、原因を見つけやすくなります。

先延ばししやすいものを書き出してみる

自分の先延ばし癖を知りたいなら、最近後回しにしたことをいくつか思い出してみましょう。

例えば、

先延ばししたこと 始めにくかった理由
仕事の資料 何から書けばいいか分からない
メールの返信 文章を考えるのが面倒
掃除 部屋全体をやろうとしていた
勉強 範囲が広すぎる
手続き 調べることが多そう
運動 疲れていて動きたくない

こうして並べると、

自分が何を先延ばししやすいのか

が見えてくることがあります。

例えば、

「大きな作業ばかり先延ばししている」

なら、タスクの大きさが関係しているかもしれません。

「人に見せるものばかり後回しにしている」

なら、評価への不安や完璧主義が関係している可能性があります。

先延ばし癖と完璧主義

先延ばしというと、

適当にやっている人

を想像するかもしれません。

しかし、

ちゃんとやりたい

という気持ちが強いことで始めにくくなる場合もあります。

例えば、

資料をきれいに作らなければ。

レポートで良い評価を取りたい。

失礼のないメールを書かなければ。

失敗しないように準備しなければ。

と考えます。

すると、作業開始のハードルが上がります。

「少しだけやる」ではなく、

ちゃんとできる状態になってから始めよう

となり、結果的に後回しになることがあります。

完璧主義と先延ばしについては、完璧主義だと先延ばししやすい?原因と対策を考えるでも紹介しています。

先延ばし癖と不安

不安も、先延ばしにつながることがあります。

例えば、

失敗するのが怖い。

怒られるのが怖い。

結果を見るのが怖い。

相手の反応が怖い。

自分の能力不足を知るのが怖い。

といった場合です。

その作業を始めれば、不安と向き合うことになります。

そこで、

まだ始めない

ことで不安から距離を取ろうとすることがあります。

この場合、

「もっとやる気を出そう」

だけではなく、

何を不安に感じているのか

を具体的にすることが対策の一つになります。

詳しくは、不安や恐怖で先延ばししてしまう?怖くて始められないときの対策も参考にしてください。

「めんどくさい」から先延ばしすることもある

もちろん、

単純に面倒だから

という場合もあります。

掃除。

手続き。

メール。

書類整理。

細かな作業。

こうしたタスクは、

やれば終わると分かっているけれど、今やりたくない

と感じることがあります。

その場合、原因を深く分析し続けるより、

作業を小さくして始める

ほうが早いこともあります。

例えば、

部屋を掃除する。

ではなく、

机の上だけ片付ける。

メールを全部返す。

ではなく、

一件だけ返信する。

という形です。

「めんどくさい・やりたくない」と先延ばしについては、「めんどくさい・やりたくない」と先延ばしでも紹介しています。

「明日やればいい」が繰り返される理由

先延ばしでは、

未来の自分ならできそう

と感じることがあります。

今日は疲れている。

今日は忙しい。

今日は気分が乗らない。

でも、

明日ならできる気がする。

ところが明日になれば、それは未来ではなく今日です。

また、

「今日はちょっと……」

という理由が出てきます。

行動経済学では、将来より現在の利益や負担を強く意識しやすい傾向として、

現在バイアス

という考え方があります。

先延ばしとの関係については、なぜ先延ばしする?行動経済学の「現在バイアス」から考えるでも紹介しています。

「明日の自分ならやる」と思ったら、

明日ではなく、今日できる最小の行動は何か

を考えてみましょう。

先延ばし癖をなくそうとしすぎない

先延ばし癖を自覚すると、

もう絶対に先延ばししない

と決めたくなるかもしれません。

しかし、何かを後回しにすること自体が、すべて悪いわけではありません。

予定より重要なことが入った。

今日は体調が悪い。

必要な情報がまだそろっていない。

ほかの仕事を優先したほうがいい。

こうした場合は、後回しにすることが合理的な場合もあります。

目指すのは、

すべてを即座にやる人になること

ではありません。

問題になっている先延ばしを見つけて、

必要なときに始められるようにすること

です。

まず「あとで」を具体的にする

先延ばし癖を減らす最初の方法として、

あとでやる

を具体的にしてみましょう。

例えば、

「あとでレポートをやる」

ではなく、

20時からレポートの見出しを作る。

「あとで返信する」

ではなく、

昼休みにメールを一件返信する。

とします。

ポイントは、

いつ

だけでなく、

何をするか

まで決めることです。

「20時から勉強する」より、

20時から問題集を5問解く

のほうが、開始したときに迷いにくくなります。

タスクを「始められる大きさ」にする

先延ばししているものがあれば、タスクの大きさを確認してみましょう。

例えば、

資料を作る

では大きいかもしれません。

そこで、

資料の見出しを3つ書く

にします。

さらに重ければ、

資料ファイルを開く

でも構いません。

ほかにも、

大きなタスク 小さくしたタスク
勉強する 問題を3問解く
部屋を掃除する 机の上だけ片付ける
レポートを書く 見出しを3つ作る
メールを返す 一件だけ返信する
調べものをする 検索する言葉を一つ決める

目標は、

タスクを簡単に見せること

ではありません。

次に何をすればいいか分かる状態にすること

です。

先延ばし癖を改善するときは一つの場面から始める

「先延ばし癖を治したい」と思うと、

仕事。

勉強。

掃除。

返信。

運動。

生活習慣。

すべてを変えたくなるかもしれません。

しかし、一度に全部変える必要はありません。

まず、

一番困っている先延ばしを一つ

選びます。

例えば、

仕事の重要なタスクを後回しにして困っているなら、仕事だけ。

返信がたまって困っているなら、返信だけ。

そこから、

どこで止まっているのか

を確認します。

先延ばし癖の具体的な改善方法については、先延ばし癖の治し方でも詳しく紹介しています。

「治らない」と感じたら方法を変える

先延ばし対策を試しても、

また先延ばししてしまった

ということはあります。

それだけで、

自分の先延ばし癖は治らない

と判断する必要はありません。

例えば、

タスクを小さくしても始められないなら、不安が強いのかもしれません。

時間を決めても始められないなら、予定した時間帯に無理があるかもしれません。

毎日続けようとして失敗するなら、頻度が高すぎるのかもしれません。

方法が合わなかったら、

自分を責めるのではなく、方法を調整する

という考え方もできます。

詳しくは、先延ばしが治らないのはなぜ?対策しても繰り返すときの考え方も参考にしてください。

Pomolikaで「始める時間」を作る

Pomolikaはブラウザで使えるポモドーロタイマーです。

先延ばし癖があると感じているなら、

先延ばしを完全になくすため

ではなく、

今先延ばししている一つを始めるため

にタイマーを使えます。

例えば、

先延ばししていることを一つ選ぶ

次にする行動を決める

Pomolikaを10分に設定する

その作業だけ始める

という流れです。

仕事なら、

10分で資料の見出しを作る。

勉強なら、

10分で問題を3問解く。

掃除なら、

10分だけ机周りを片付ける。

返信なら、

10分で一件だけ返す。

一般的なポモドーロでは25分が知られていますが、始めること自体を先延ばししているなら、最初から25分にする必要はありません。

始められる時間まで小さくする

という使い方もできます。

Pomolikaのタイマーを使う

まとめ

先延ばし癖とは、日常的には、

やる必要があることを後回しにする行動を繰り返している状態

を表す言葉として使われます。

ただし、「先延ばし癖」は病名ではありません。

また、何かを後回しにすることがすべて問題というわけでもありません。

先延ばしを繰り返して困っているなら、

自分は意志が弱い

と決めつける前に、

どんなときに先延ばししているのか

を確認してみましょう。

作業が大きい。

面倒。

不安。

完璧にやろうとしている。

締め切りが遠い。

疲れている。

理由によって、必要な対策も変わります。

そして、今先延ばししているものがあるなら、

「あとでやる」を具体的な時間に変える。

タスクを始められる大きさにする。

最初の一つだけ決める。

先延ばし癖を一日でなくそうとする必要はありません。

まずは、

いつもの「あとで」を一回だけ「今から少し」に変える。

そこから試してみましょう。