「先延ばしとは、具体的にどんな状態?」
「やることを明日に回したら、全部先延ばしになる?」
仕事や勉強、家事などで、
やったほうがいいと分かっているのに、あとでやろうと後回しにする
ことがあります。
例えば、
締め切りがある資料を作らずにメールを見る。
試験勉強を始めずにスマホを見る。
掃除しようと思いながら次の休日へ回す。
返信しようと思ったLINEを何日も放置する。
こうした行動は、先延ばしの例として考えられます。
ただし、
何かを後回しにすることが、すべて悪い先延ばしというわけではありません。
優先順位を考えて意図的に予定を変更することもあります。
この記事では、先延ばしとは何なのか、具体例や後回しとの違い、なぜ先延ばししてしまうのか、どう対策すればいいのかを整理します。
先延ばしとは?
先延ばしとは、一般的には、
やるべきことや、やろうと思っていることを後の時間へ延ばすこと
を指します。
心理学では、単に予定を後へ動かすことではなく、
遅らせることで不利益が生じる可能性があると分かっていても、不必要に行動を遅らせること
として研究されることがあります。
APA心理学辞典のprocrastinationの項目でも、不利益を認識しながら意図した課題を不必要かつ自発的に遅らせることと説明されています。
例えば、
明日までに提出する資料がある。
今日やれば余裕を持って終わる。
でも、
「まだ時間があるからあとでやろう」
と別のことを始める。
そして締め切り直前になって慌てる。
こうした状態です。
大切なのは、
後回しにしたことそのものではなく、自分でもやったほうがいいと思っているのに遅らせているか
です。
「後回し」と「先延ばし」は同じ?
日常では、「後回し」と「先延ばし」は近い意味で使われます。
ただし、少し分けて考えることもできます。
例えば、
重要な仕事が急に入ったので、予定していた掃除を明日にする。
これは、
優先順位を考えた予定変更
です。
一方、
今日中に資料を進めたほうがいい。
時間もある。
でも面倒なので、
「明日やればいいか」
と繰り返し延ばす。
こちらは先延ばしと考えやすいでしょう。
つまり、
後ろへ動かした理由があるか
を見ると分かりやすくなります。
言葉の違いについては、先延ばし・後回し・先送り・延期の違いでも詳しく紹介します。
「先延ばし」という言葉の使い方
「先延ばし」は、予定や判断、作業などを本来より後へ延ばす場面で使います。
例えば、
- レポートを書くのを先延ばしにする
- 重要な決断を先延ばしにする
- 面倒な手続きを来週まで先延ばしする
といった使い方です。
「先送りする」「後回しにする」も近い表現ですが、先延ばしには、必要だと分かっていることを不必要に遅らせるという否定的な意味合いで使われることがあります。
なお、「先 延ばし」のように空白を入れず、一般には「先延ばし」と続けて書きます。
先延ばしの具体例
先延ばしは、仕事や勉強だけで起こるわけではありません。
日常生活のさまざまな場面で起こります。
仕事の先延ばし
例えば、
重要な企画書を作らなければいけない。
でも、
メールを確認する。
ファイルを整理する。
簡単な仕事から片付ける。
という状態です。
仕事をしているため一見すると忙しく見えますが、
本当に進める必要がある仕事を避けている
場合があります。
仕事の先延ばしについては、仕事を先延ばししてしまうのはなぜ?で紹介しています。
勉強の先延ばし
試験まで1か月ある。
今日から勉強しようと思った。
でも、
まだ時間がある
とスマホを見る。
翌日も、
明日から始めよう
と延ばす。
そして試験直前になってから一気に勉強する。
これもよくある先延ばしの例です。
レポートや宿題の先延ばし
提出期限が2週間後なら、
今日やらなくても間に合います。
しかし、
今日。
明日。
週末。
と何度も後回しにすると、提出前日になってしまいます。
レポートや宿題については、レポートや宿題を先延ばししてしまうのはなぜ?でも詳しく紹介しています。
掃除の先延ばし
掃除は、
今日やらなくてもすぐ困らない
ことがあります。
そのため、
今度の休日。
次の休日。
来週。
と延ばしやすい作業です。
掃除については、掃除を先延ばししてしまうのはなぜ?も参考にしてください。
返信の先延ばし
LINEやメールを見て、
あとで返そう
と思うこともあります。
しかし時間が経つと、
「今さら返しづらい」
という気持ちが加わり、さらに後回しになることがあります。
返信については、LINEやメールの返信を先延ばししてしまうのはなぜ?で紹介しています。
先延ばしと「やらない」は違う
先延ばしは、
やらないと決めること
とも違います。
例えば、
資格の勉強をする予定だったけれど、今は必要ないと考えてやめた。
これは、
やらないと意思決定した状態
です。
一方、
資格を取りたい。
勉強する必要もある。
でも、
来週から始めよう
と何度も延ばしている。
こちらは先延ばしです。
先延ばしでは、
やる意思は残っているのに、行動だけが未来へ移動している
ことがあります。
先延ばしは「怠け」と同じ?
先延ばしをすると、
怠けているだけ
と思うかもしれません。
しかし、先延ばしの原因は一つではありません。
例えば、
- 作業が面倒
- 何から始めればいいか分からない
- 難しくて自信がない
- 失敗するのが怖い
- 完璧にやろうとしている
- 締め切りが遠い
- スマホなど別のことが気になる
- 疲れている
などがあります。
表面上は、
何もしていない
ように見えても、その背景は人や場面によって違います。
そのため、
先延ばし=怠け
だけで考えると、対策を見つけにくくなることがあります。
なぜ物事を先延ばししてしまうのか
先延ばしには、いくつかの特徴やパターンがあります。
- 作業が大きく、最初の一歩が分からない
- 完璧にやろうとして始められない
- 不安や失敗を避けるため別のことをする
- スマホなど目の前の誘惑へ移る
- 締め切り直前まで「まだ大丈夫」と考える
同じ人でも、場面によってパターンが変わることがあります。「4タイプ」のような分類だけで自分を固定せず、実際に何を先延ばししたかを見ることが大切です。
自分の傾向を整理したい場合は、先延ばしタイプ診断も参考にしてください。
先延ばしについては心理学で多くの研究があります。
研究では、
作業への不快感。
自己効力感。
衝動性。
自己コントロール。
結果が得られるまでの時間。
感情調整。
など、さまざまな要素との関係が調べられています。
つまり、
「先延ばしする人は意志が弱い」
という一つの原因だけでは説明できません。
先延ばしの原因について詳しく知りたい場合は、なぜ先延ばししてしまう?心理学から考える原因とメカニズムも参考にしてください。
嫌なことほど先延ばししやすい
例えば、
難しい仕事。
面倒な手続き。
失敗したくない作業。
人へ連絡すること。
などは、始める前から嫌な気持ちになることがあります。
そこで、
あとでやろう
と決めると、その瞬間は作業から離れられます。
つまり、
嫌な作業がある
↓
先延ばしする
↓
その瞬間だけ少し楽になる
ということがあります。
しかし、作業そのものがなくなるわけではありません。
時間が経てば、また向き合う必要があります。
締め切りが遠いと先延ばししやすい
締め切りまで1か月あると、
今日やらなくても大丈夫
と思えます。
明日もまだ大丈夫。
来週でも間に合う。
しかし、それを繰り返すと締め切りが近づきます。
先延ばしを行動経済学から考えるときには、
現在バイアス
という考え方もあります。
将来の利益より、
今の楽さや楽しさ
を強く感じることがあるという考え方です。
詳しくは、なぜ先延ばしする?行動経済学の「現在バイアス」から考えるで紹介しています。
大きなタスクほど始めにくい
例えば、
レポートを書く
というタスクがあります。
実際には、
テーマを決める。
資料を探す。
構成を作る。
本文を書く。
見直す。
という複数の作業があります。
それを全部まとめて、
レポート
と考えると大きく感じます。
同じように、
部屋を掃除する。
企画書を作る。
資格の勉強をする。
というタスクも、そのままでは大きすぎる場合があります。
先延ばししているなら、
次に何をするか
まで小さくしてみましょう。
先延ばし癖とは?
一度だけ先延ばししたのではなく、
何度も同じように後回しにしてしまう
場合、
「先延ばし癖がある」
と表現することがあります。
例えば、
毎回締め切り直前まで始めない。
返信を何日も放置する。
「明日から」を何度も繰り返す。
という状態です。
ただし、「先延ばし癖」は病名ではありません。
日常的に、
先延ばしを繰り返している状態
を表す言葉として使われます。
詳しくは、先延ばし癖とは?なぜ「あとでやる」を繰り返してしまうのかで紹介しています。
先延ばしすると何が問題になる?
少し予定を後ろへ動かしても、何も問題が起きないことはあります。
しかし、先延ばしを繰り返すことで、
締め切り直前になる。
十分な時間を取れない。
焦って作業する。
睡眠時間を削る。
返信しづらくなる。
やることがたまる。
後悔する。
といった問題につながることがあります。
先延ばし研究では、ストレスや健康との関連も研究されています。
ただし、
一度先延ばししただけで大きな問題になる
という意味ではありません。
自分の生活にどの程度影響しているかを見ることが大切です。
「先延ばししない」を目標にしすぎない
先延ばしについて知ると、
これからは何でもすぐやろう
と思うかもしれません。
しかし、すべてを即座に処理する必要はありません。
予定を変更する。
優先順位を変える。
今日は休む。
必要な情報がそろうまで待つ。
こうした判断も必要です。
目標は、
何でもすぐやる人になること
ではありません。
自分が困っている先延ばしについて、
必要なときに始められる状態を作ること
です。
先延ばししていることを一つ選ぶ
先延ばしを改善したいなら、
先延ばし癖全体を治そう
と考える前に、一つ選んでみましょう。
例えば、
資料。
勉強。
掃除。
返信。
手続き。
その中から、
今一番困っているもの
を一つ選びます。
そして、
なぜ始めにくい?
と確認します。
面倒なのか。
難しいのか。
何から始めればいいか分からないのか。
不安なのか。
原因を具体的にすると、次の行動も考えやすくなります。
タスクを小さくする
先延ばししているものが大きいなら、
始められる大きさ
まで小さくします。
例えば、
| 大きなタスク | 最初の一つ |
|---|---|
| 資料を作る | 見出しを3つ書く |
| 勉強する | 問題を3問解く |
| レポートを書く | 構成だけ考える |
| 部屋を掃除する | 机の上だけ片付ける |
| メールを返す | 一件だけ開く |
「これだけでは終わらない」と思うかもしれません。
しかし、先延ばししているときの最初の問題は、
終わらないことではなく、始まらないこと
です。
まず開始地点を作ります。
「あとで」を具体的な時間にする
先延ばしするときによく使うのが、
あとで
です。
しかし、
「あとで資料をやる」
では、いつ始めるか決まっていません。
そこで、
20時から10分、資料の構成を考える
とします。
いつやるか。
何をするか。
この二つを決めます。
「明日やる」より、
明日の20時に問題集を5問解く
としたほうが具体的です。
10分だけ始める
長時間取り組むことが重いなら、
まず10分だけ
にします。
例えば、
10分だけ資料を作る。
10分だけ勉強する。
10分だけ片付ける。
とします。
10分経ったら、一度区切って構いません。
まだできそうなら続けます。
重要なのは、
10分で全部終わらせることではなく、先延ばししている作業へ入ること
です。
先延ばししても再開できればいい
一度先延ばししたら、
失敗
と考える必要もありません。
昨日できなかった。
今日の午前中もできなかった。
それでも、
今から再開する
ことはできます。
先延ばしを完全になくすより、
気づいたら戻れるようになる
ことも改善の一つです。
先延ばし癖の具体的な改善方法については、先延ばし癖の治し方も参考にしてください。
Pomolikaで「あとで」を「今10分」に変える
Pomolikaはブラウザで使えるポモドーロタイマーです。
先延ばししていることがあるなら、
全部終わらせる
のではなく、
今から少しだけ始める
ために使えます。
例えば、
先延ばししていることを一つ選ぶ
↓
次にする行動を決める
↓
Pomolikaを10分に設定する
↓
10分だけ始める
という流れです。
資料なら、
10分で見出しを作る。
勉強なら、
10分で問題を3問解く。
掃除なら、
10分だけ机周りを片付ける。
一般的なポモドーロでは25分が知られていますが、先延ばししていて始めること自体が重いなら、最初から25分にこだわる必要はありません。
これなら始められそう
と思える時間から試してみましょう。
まとめ
先延ばしとは、
やる必要があることや、やろうと思っていることを後の時間へ延ばすこと
です。
ただし、
予定を後ろへ動かすことが、すべて問題のある先延ばしになるわけではありません。
重要なのは、
自分でもやったほうがいいと思っている。
後回しにする必要はない。
それでも何度も延ばして困っている。
という状態かどうかです。
先延ばしには、
- 作業が面倒
- 難しい
- 不安
- 完璧にやろうとしている
- タスクが大きい
- 締め切りが遠い
- 目の前に別の誘惑がある
- 疲れている
など、さまざまな理由があります。
だから、
「自分は怠けている」
だけで終わらせず、
今回はなぜ先延ばししている?
と考えてみましょう。
そして、
タスクを小さくする。
「あとで」を具体的な時間にする。
最初の一つを決める。
10分だけ始める。
といった方法を試します。
やることをすべて先延ばししない人になる必要はありません。
まず、
今困っている一つの「あとで」を、「今少しだけ」に変える。
そこから始めてみましょう。